A.不倫相手の配偶者やその代理人弁護士から慰謝料を請求された場合、無視していたり、支払いに応じずにいると、訴訟を起こされて裁判になることがあります。
裁判所からの通知が届いた場合、たとえ、不貞行為の事実がなかったり、対応が面倒くさかったり、慰謝料を支払う気が無かったとしても、絶対に無視してはいけません。
裁判所からの通知を無視すると、相手方の請求をすべて認めたことになりますし、給料や預貯金、不動産の差し押さえなど強制執行を受けてしまう危険性もあります。
おそらく、裁判所からの通知の中身は、「訴状」と「口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状」という書類かと思われます。
これらを簡単に説明しますと、まず、訴状は原告(慰謝料を請求する人)の主張が書かれた書面であり、通常、それを裏付ける証拠がセットになっています。
次に、口頭弁論期日呼出状とは、第1回目の法廷が開かれる日(これを法律用語で「期日」と呼びます)に裁判所へ出廷することを求める書面です。
さらに、答弁書催告状とは、原告が訴状により出張してきた内容に対する、被告(あなた)の言い分を記載する書面(これを「答弁書」と呼びます)を裁判所に提出することを求める書面です。通常、原告や裁判官に事前に内容を知らしめるよう、期日の1週間前までの提出が求められています。
もしも、第1回口頭弁論期日に裁判所に出廷せず、また、答弁書も提出しない場合、被告が不在のまま裁判が行われ、原則として全面敗訴になります。つまり、原告の言い分が全て認められたことになってしまうのです。
つまり、「訴状に書いてあることはすべて事実です」「争いません」と主張したとみなされます。そのため、実際の事実関係とは全く異なっていたとしても、原告が主張した事実を前提とした判決が、裁判所から下されてしまうのです。
この点、第1回口頭弁論期日の前に答弁書さえ提出しておけば、出廷できなかったとしても、被告が答弁書の内容を法廷で主張したものとみなされますので(擬制陳述)、全面敗訴という最悪の事態は防ぐことができます。
しかし、答弁書は、原告の主張を認めるのか、争うのか、事実に誤りがあるのか(否認)、知らない事実なのか(不知)などを明らかにしながら反論する必要があり、訴訟の専門家である弁護士が対応しなければ、裁判の展開が不利に進んでしまう危険性も十分にあります。
裁判所からの通知が届いた場合には、慌てず、焦らず、弁護士に相談してください。