あ行の法律用語一覧
「あ」から始まる用語
「い」から始まる用語
- 慰謝料[いしゃりょう]
不貞行為(浮気・不倫)やDVといった、相手の行為によって受けた精神的苦痛に対する損害賠償金のことを慰謝料と呼びます。
これまでの裁判例をみますと、慰謝料は50万円~300万円程度のことが多いのですが、その金額はケース・バイ・ケースです。不倫の程度や婚姻期間、夫婦関係に与えた影響(別居や離婚)、相手の経済状況など、様々な要因によって異なります。
なお、離婚の場合、性格の不一致や相手に責任のない場合には、慰謝料の請求は認められません。ご興味のある方は、こちらのコンテンツもご覧ください。
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慰謝料の金額どう決まる?気になる慰謝料相場- 委任状[いにんじょう]
第三者である代理人に、書類の申請や届け出の手続きなどを委任した(依頼した)ことを証明する書類のことです。
離婚手続では、慰謝料、財産分与、親権、養育費、面会交流権など離婚条件に関する交渉を弁護士に委任した場合に必要ですし、離婚調停や離婚審判、離婚訴訟の代理を弁護士に委任した場合は、家庭裁判所に対しても委任状を提出する必要があります。
また、委任状は、委任関係を明らかにする大切な書類ですので、鉛筆や消せるボールペンなどで作成することはできません。住所氏名も正確に記載する必要があります。
なお、委任状には押印が必要ですが、シャチハタなどのゴム印を使用することはできません。通常は認印で対応しますので、注意してください。
- 姻族[いんぞく]
婚姻によってできた親戚のことであり、自分と自分の配偶者の血族や、自分の血族と配偶者との関係を指します。
日本では3親等以内の姻族を親族としています(民法第725条3号)。離婚した場合、姻族関係は当然に終了します(同第728条1項)。しかし、配偶者が亡くなったことによって婚姻関係が解消しても、亡くなった配偶者の血族との間の姻族関係は当然には終了しません。
姻族関係を終了させるには、生存している配偶者が姻族関係を終了させる意思表示を行う、具体的には「姻族関係終了届」を市区町村役所に提出することによって終了します(同第728条2項、戸籍法第96条)。
たとえば、夫が死亡した場合、妻が姻族関係終了届を提出すれば、夫の舅や姑、義理の兄弟姉妹などとの縁を切り、親戚関係を法的に終わらせることができるのです。 昨今、テレビなどで話題となった「死後離婚」という言葉がこれにあたります。
ところで、この姻族関係終了届を提出する必要はあるのでしょうか。
考えられるのは、姻族の扶養義務を回避することです。家庭裁判所は特別な事情がある場合のみですが、姻族の扶養義務を負わせることができるとされています(同第877条2項)。
そのため、姻族関係終了届を提出しておけば、妻が亡夫の義理の父母(舅・姑)の扶養義務を負わされることもありません。ただし、姻族の扶養義務が課されることは非常に稀です。
近年、姻族関係終了届の提出件数は増加傾向にあります。
核家族化の進行とともに、昔ながらの親戚付き合いを煩わしく思ったり、家単位の意識が希薄化したりすることが背景事情としてあるのではないでしょうか。
「う」から始まる用語
- 浮気[うわき]
日常用語では、交際中の男女間において、相手が他の異性と交際することを指すことが一般的です。独身であれば「浮気」、既婚者であれば「不倫」と言葉を使い分けたり、男女関係があって本気の場合を「不倫」、そうでない遊びの関係を「浮気」と呼ぶことも多いようです。
実は、浮気も不倫も、法律用語ではありません。法律用語では、配偶者のある人が、配偶者以外の異性と性的関係を持つことを「不貞行為」といいます。民法上、夫婦には、夫婦以外の異性と性的関係を持ってはならないという貞操義務がありますので、この貞操義務に違反しているので「不貞」と呼ばれるのです。
そして、不貞行為に対しては、慰謝料などの損害賠償を請求することができますし、裁判上の離婚原因にもなります(民法第709条、同第770条1項1号)。
「え」から始まる用語
- 円満調停[えんまんちょうてい]
夫婦関係がうまくいかず、当事者やご家族を含めた話し合いではうまくいかない場合、家庭裁判所に調停を申し立てて、解決を図ることがあります。
調停は、当事者に調停委員(裁判官や弁護士がなることが多い)とよばれる裁判所の職員の人が加わった話し合いの様な制度です。
調停は、遺産分割調停など複数ありますが、夫婦間の調停は夫婦関係調整の調停とよばれます。夫婦関係調整の調停は2種類あり、離婚を前提とした調停を離婚調停、もとの円満な夫婦生活に戻ることを目的とした調停を円満調停といいます。
ただし、円満調停の中で、離婚を請求することも可能です。円満調停で合意ができず調停が不成立に終わった場合、離婚審判に進展することもありますし、審判の結論に異議が出た場合は、最終的に離婚訴訟に進展することもあります。