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0.何よりも証拠が大切です。まずは、証拠集めからスタート
慰謝料を請求する場合、あるいは、請求された場合、まず最初に行うことは、不倫が実際にあったのかを確認することです。そして、それが形のある証拠として、残っているのかということです。
慰謝料請求の交渉の場において、相手が自ら不倫の事実を認め、請求額通りに和解することはまずありえません。ほとんどの場合、「不倫はしていない」とか、「ちょっと相談に乗ってあげただけ」と言い訳をし、慰謝料を何とか減額できないか交渉しようとします。
そして、「不倫をした」「いや、不倫はしてない」と話し合いが平行線になってしまい、いつまでたっても解決できなくなります。
このような状況になってしまった場合、問題解決のカギとなるのが「証拠」です。たとえ、相手が「不倫はしていない」と言い張っていても、一緒にラブホテルに入った写真や、性的関係を持ったことが分かるメールのやり取りの写真などがあれば、相手は反論できにくくなります。
また、相手との話し合いで決着がつかず、裁判で解決を図ることとなった場合には、証拠の有無がさらに重要となります。裁判では、第三者である裁判官が、実際に不倫があったかが分かるように、より具体的な証拠を準備する必要があるからです。
それ以外にも、不倫をしていたと勘違いしている場合もあり得ます。不貞行為など浮気や不倫の事実がなかったにも関わらず、相手方に対し慰謝料を請求した場合、逆に名誉棄損で訴えられる可能性すらあります。
感情的になる前に、一度冷静になり、不倫の証拠があるのかを確認しましょう。
不倫相手との交渉に、何の証拠も持たず、丸腰で挑むことは避けるべきです。
1.浮気や不倫の証拠になるもの、ならないものをチェック
それでは、どのような物が証拠になるのか具体的に見ていきましょう。
(1)写真
証拠になるもの
- 性的関係をもったことが分かる資料
- 不倫相手と一緒に旅行に行った写真
- 不倫相手と一緒にホテルに入った写真
証拠にならないもの、なりにくいもの
- 手を組んでいる写真
- ハグしたり、キスをしている写真
不倫があったことをもっとも明確に示す証拠となります。
ただし、後ろ姿だけでは、本人が写っているか分かりませんので、できるだけ
顔などが写っており、本人や不倫相手が特定できる状態の写真を用意し、撮影の日時や撮影場所が分かる状態で記録しておきましょう。
ラブホテルに一緒に入ったとしても、性的関係は持っていなかった場合もあるでしょう。しかし、男女がラブホテルに一緒に入ったが、性的関係は一切なかったことは通常ありえない、との考え方が一般的であり、裁判所もこの考え方を採用している場合がほとんどです。
ホテルや旅行に行った写真が複数回ある場合は、たとえ性的関係を持ったことが分からなかったとしても、不倫が認められる傾向が高くなります。
一方で、芸能人のスクープ写真のように、手を組んだり、ハグをしているなどの写真でもお互いの親密性を疑われる証拠にはなります。
しかし、それだけでは不倫があった=性的関係をもった証拠とは認められ難いのが現状です。この場合は、他の証拠も色々と集め、不倫があったことを証明していくことになります。
(2)メール、LINE、facebook、SNSなど
証拠になるもの
- 性的関係をもったことが分かる文章
- 不倫相手と一緒に旅行やホテルに行ったり、行くことを計画していることが分かる文面
証拠にならないもの、なりにくいもの
- 日常的な会話をしている文章(天気のことなど)
- 性的関係を持ったことが分からない文章(食事の誘いなど)
写真と同様に、不倫があったことが分かる証拠として有力な証拠となります。今や、ほぼすべて人が携帯電話を持つ時代ですから、不倫相手とはメールやSNSを通じて連絡を取っていることが圧倒的に多いです。
しかも、通話の場合は、会話の内容まで特定することはできませんが、メールやSNSの場合には、やり取りの内容までもしっかりと残りますから、立派な証拠になります。
少し前の話になりますが、人気女性タレントとミュージシャンのSNS上のやり取りが暴露され、不倫行為が発覚したことが話題となりました。
具体的には、不倫相手と性的関係を持ったことがわかる部分のトーク画面を、携帯のカメラで写すなどでして使われることが一般的です。
文面から、相手のことを「~ちゃん」づけで呼んでいる場合など、ある程度親しい間柄にあることが読み取れた場合でも、性的関係をもったことが読み取れないと、不倫があったとは認められ難いです。
(3)クレジットカードの明細書や領収書
証拠になるもの
- 性的関係をもったことが分かる領収書(ラブホテルや避妊具などの領収書)
証拠にならないもの、なりにくいもの
- 日用品の領収書
夫婦で一緒に暮らしていると、偶然、配偶者の財布やカバンなどから、浮気・不倫をしたことが分かる書類が出てくることがあります。
ラブホテルや、避妊具などの領収書(レシートなど)はその典型的な例でしょう。
一方で、単なる日用品のだけでは、たとえ身に覚えのない領収書でも、それだけでは、不倫があった証拠としては認められ難いのが現状です。
(ただし、明らかに異性の商品を継続的に買っていたり、領収書がラブホテルの近くの店であった場合は、不倫行為が発覚するきっかけにはなりえます。)
(4)その他、証拠となるもの
証拠になるもの
- 謝罪文
夫婦喧嘩の際など、配偶者が不倫をしたことを口走る、あるいは認めることがあります。この場合に相手が不倫を認めているうちに、謝罪文を書かせて書面化しておく、ICレコーダーや、携帯電話のカメラで自白した場面を保存保存しておくのがよいでしょう。 - 診断書
配偶者もしくは不倫相手が妊娠したことが分かる診断書の存在も、不倫があったことの大きな決め手となります。 - 住民票
既に配偶者と別居をし、住民票も別々の箇所に置いている場合、配偶者の住民票を取得することにより、不倫相手との同棲が発覚することがあります。
一つ一つの証拠としては、不倫行為が認められない場合でも、複数の証拠を揃えることにより、不倫行為があったことが認められる場合があります。
証拠を積み重ねて立証することは弁護士がもっとも得意とするところです。 どうぞ遠慮なくご相談ください。
2.探偵に依頼してより確実な証拠を。~悪質な業者にはご用心~
自分で証拠を集めたりするのが困難な場合は、探偵事務所にお願いする方法もあります。
特に、家の外で不倫行為をしている可能性がある場合、後をつけたり、長時間待機したりするのは、素人では限界があります。その点、探偵事務所は、経験や専門的なノウハウがありますから、探偵事務所にお願いする方法もあります。
しかし、探偵事務所を利用する際に注意していただきたい点が2点あります。
- 違法な方法で取得した証拠に要注意
探偵事務所は、市販されていない様々な器具や道具をも使って、熱心に証拠収集をしてくれます。しかし、その熱心さが仇となり、違法な方法で証拠を取得する場合があり得ます。
たとえば、盗聴や不法侵入などです。
裁判上では、違法な方法で取得した証拠は、たとえ、不倫の事実が写っていたとしても、証拠として採用されず、慰謝料請求が認められない可能性があるので注意してください。
- 高額な費用に要注意
最近、消費者生活センターなどに「探偵事務所に調査をお願いしたところ、高額な費用を請求された」との被害に関する相談が相次いでいるようです。探偵事務所に依頼する場合には、正式に契約する前に、見積もりを出してもらうなど、費用に関する説明をしっかりと受け、納得したうえで依頼するようにしてください。
3.証拠集めは初動が大切。早めに弁護士への相談を
慰謝料を請求するための証拠集めは、初動が何よりも大切です。
相手方がこちらの動きに気付き、メールやLINEを消すなどの証拠を消されてしまう可能性があるからです。
そして証拠が集められたら、一刻も早く弁護士に相談して、慰謝料を請求してもらいましょう。
また、不倫関係にあったことがはっきりとわかる証拠がなかった場合でも、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
弊事務所には、不倫の慰謝料請求に詳しい、経験豊富な弁護士が多数在籍していますから、一つ一つの証拠としての能力は低くても、複数の証拠を組み合わせることにより、不倫や浮気の事実を明らかにすることも可能です。
また、通常は分からなくとも、専門家である弁護士が調査することにより、不倫の実態を明らかにする証拠が見つかることもあります。
その他、どうしても証拠が見つからない場合でも、弁護士に一度相談してみてください。
たとえ、明確な証拠がなかったとしても、交渉のプロである弁護士が慰謝料請求を行えば、事の重大さに気づいた相手方が不倫の行為を認め、慰謝料の支払いに応じることはよくあります。
証拠が見つからなかったとしても、諦めないで、弁護士に相談してみてください。
慰謝料に詳しい弁護士が、慰謝料獲得のために全力でサポートさせていただきます。