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監修した弁護士

弁護士:大橋史典

弁護士法人プロテクトスタンス(第一東京弁護士会所属)
弁護士:大橋 史典

0.不倫相手に復讐したい。職場にバラしたいけどリスクはある?

愛する人に裏切られるのはとても辛いことです。「私はこんなに辛い思いをしているのに、夫(妻)の不倫相手は平然と生活している…、なんとかして復讐したい!」と考えてしまうのも、無理はないでしょう。

しかし、慰謝料を請求するだけでなく、復讐のために「浮気相手の職場に不倫をバラしたい」と考えていても、絶対にしてはいけません。不倫をバラす行為が犯罪にあたる可能性がありますし、バラした相手から逆に損害賠償を請求されるリスクもあるからです。

この記事では、不倫相手の職場に対して不倫を暴露する行為にどのようなリスクがあるのかを弁護士が詳しく解説します。

1.犯罪者になってしまうリスク

「不倫をバラしますよ」と脅したり、実際にバラしたりする行為は、以下の犯罪に該当する可能性があります。

  • 脅迫罪
  • 恐喝罪
  • 強要罪
  • 威力業務妨害罪
  • 名誉毀損罪
  • 侮辱罪

1-1.「脅迫罪」

脅迫罪とは、脅迫相手となる本人やその親族に対し、害を与えることを告知した場合に成立する犯罪です。生命や身体だけでなく、自由や名誉、財産に対して脅迫する場合も脅迫罪にあたります(刑法第222条1項、2項)。

刑罰は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金です。

不倫を暴露することは、相手の名誉に害を与える行為に該当しますし、相手に害を与える行為として脅迫罪が成立する可能性があります。

1-2.「恐喝罪」

恐喝とは、人に対して害悪の告知をし、財物を交付させる、またはさせようとした場合に成立する犯罪です(同法第249条)。刑罰は10年以下の懲役です。

脅迫罪と似ていますが、金銭を要求するかどうかの違いがあります。

  • 脅迫罪
    相手に恐怖を与える言動
  • 恐喝罪
    相手を脅迫して金銭を要求する

たとえば、「職場にバラされたくなかったら、慰謝料として1,000万円を支払え!」などと脅すケースは、恐喝罪が成立する可能性があります。

1-3.「強要罪」

強要罪とは、暴行または脅迫を用いて、相手に義務のないことを行わせる犯罪です。(同法223第条1項)

たとえば「土下座しないと配偶者にバラす」や「仕事を辞めないなら、職場にバラす」と強要した場合に該当する可能性があります。刑罰は、3年以下の懲役です。

1-4.「威力業務妨害罪」

威力業務妨害とは、威力を用いて他人の業務を妨害した場合に成立する犯罪です(同法第234条)。刑罰は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

「威力を用いる」にあたる行為は、暴力だけではありません。たとえば、不倫相手の会社に乗り込んで不倫に関する事実を大声で叫んだり、電話を何回もかけたりして業務を乱すような行為も、威力業務妨害罪が成立する可能性があります。

1-5.「名誉棄損罪」

名誉毀損とは、不特定の人または多数の人に事実を知らせ、他人の名誉・社会的評価を低下させた場合に成立する犯罪です(同法第230条)。刑罰は、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金です。

不特定多数の人がいる不倫相手の職場で不倫を暴露することは、人の名誉・社会的評価を低下させる行為に該当するとして、名誉棄損罪が成立する可能性があります。

なお、「事実を知らせる」行為は、真実かどうかは無関係です。つまり、実際は不倫していなかったとしても、言いふらしただけで名誉棄損になる可能性がある点にも注意しましょう。

1-6.「侮辱罪」

不倫をバラさなくても、不倫相手の職場で「○○(不倫相手の名前)は尻軽女だ」などというだけで侮辱罪が成立することに注意しましょう。

侮辱罪とは、事実を知らせなくても、公然と人を侮辱した場合に成立する犯罪です(同法第231条)。刑罰は、1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは30万円以下の罰金です。

2.損害賠償を請求されるリスク

不倫をバラす行為は刑事上の犯罪となる可能性があるだけでなく、民事上の責任として不倫相手から慰謝料を請求される可能性があります。

本来は自分が慰謝料を請求するはずなのに、逆に慰謝料を請求されてしまっては本末転倒です。不利益を受けてしまうことがないように、強い怒りを感じていても冷静に立ち回るのが最善でしょう。

3.慰謝料の金額が減ってしまうリスク

さらに、慰謝料を不倫相手や配偶者に請求する際に、認められる金額が減額されてしまうというリスクもあります。

慰謝料の金額は、さまざまな事情を考慮しながら計算します。不倫相手の職場に暴露した結果、不倫相手が減給・左遷などの不利益な処分を受けた場合、「すでに社会的制裁を受けている」として、慰謝料の減額が認められる事情として扱われると考えられます。

4.どうしても職場に連絡しなければならない場合

なかには、「不倫相手の情報が、職場の電話番号しかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。確かに、一度連絡することもやむを得ないかもしれません。

その場合に、法的責任を問われないようにするため、次のような点に注意してください。

  • 不倫相手以外の人とはできるだけ話さない
  • 回数と時間は最低限にする

不倫相手以外の人が電話に出ても不倫について話さないように注意し、何か別の理由を言ってすぐに不倫相手と代わってもらうようにしましょう。不倫相手が出たら、事情を話して連絡先を聞き出してからすぐに電話を切り、続きのやり取りは個人間で行うようにしましょう。

不倫相手の住所などを把握したいのであれば、探偵事務所や弁護士に調査を依頼することも可能です。リスクを回避するためにも依頼を検討してもよいでしょう。

5.弁護士に依頼するメリット

不倫問題に関して感情的になってしまい、職場に不倫をバラすなどの対応をしてしまうと、事態を悪化させるリスクがあります。まずは弁護士に相談し、解決に向けた対応を依頼することが望ましいでしょう。

ここでは、弁護士に依頼するメリットを4つご紹介します。

5-1.より高額な慰謝料を獲得できます

慰謝料の金額には、過去の裁判例に照らした一般的な相場はあるものの、個別のケースによって高額請求が可能な場合があります。

しかし、ご自身で対応する場合、どのくらい請求できるのかを適切に判断できず、本来なら認められるはずの金額を受け取れなくなる可能性もあります。この点、弁護士に依頼すれば、過去の交渉や裁判例などをもとに適切な金額を算出し、その金額を獲得できるよう交渉を尽力します。

5-2.精神的な負担が軽減します

不倫問題は、感情的に負担がかかります。苦痛を与えてきた相手と対峙し、交渉しなくてはいけないストレスは非常に大きいでしょう。弁護士に依頼すれば、交渉や手続きを代理してもらえるため、相手と交渉する必要がなくなり、精神的な負担が軽減されます。

5-3.裁判の対応を任せられます

相手方が不倫を認めずに支払いを拒否したり、大幅な減額を求めてきたりして交渉が決裂した場合、裁判を通じて解決を図ることができます。

裁判は証拠を揃えたうえで、裁判官に説明する必要があるなど、法的な専門知識が求められ、適切に対応できなければ不利な結果となってしまいます。

弁護士であれば、依頼者の代理人として裁判に対応し、より高額な慰謝料の獲得を目指してくれるので、安心して裁判に挑むことができるでしょう。

6.弁護士法人プロテクトスタンスにご相談ください

不倫相手の職場に不倫を暴露することは、一時的には爽快な気分になるかもしれませんが、非常にリスクが高い行為ですので、絶対にしてはいけません。職場だけでなく、近所やネット上で暴露することも同様です。

不倫で傷つけられたうえに、さらに追いつめられてしまうような事態は避けましょう。

怒りや悲しみに長く支配されるのではなく、慰謝料を獲得し、その後は自分の幸せに集中して生きていく。それが相手への一番の復讐になるはずです。

まずは、不倫相手や配偶者に冷静な対応を取るためにも弁護士に相談し、最善の解決策を見つけていきましょう。

弁護士法人プロテクトスタンスでは、少しでも安心して相談していただけるよう、以下の取り組みを実施しています。

  • 浮気や不倫の慰謝料に関する弁護士へのご相談は初回60分間無料
  • チャットの質問に答えてわかる「慰謝料の無料診断」サービス
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弊事務所には経験豊富な弁護士が揃っており、女性弁護士も在籍しています。

ご相談いただければ、一日でも早く安心して過ごせる日が来るよう、尽力させていただきます。