Q.離婚後でも、養育費の請求は可能ですか?

離婚後の養育費請求について

A.離婚後であっても、養育費を請求することはできます。

たとえ、離婚した後でも、子どもが経済的に自立するまでは扶養義務があるからです(民法第877条1項)。

(1)養育費はどのように請求するか

夫婦間で話し合いを行い、養育費の条件について決めていきます。
離婚したときに、養育費の条件について離婚協議書に記載したり、公正証書にしていたとしても、話し合いを再度行うことで新しい内容に変更することができます。

話し合いで養育費の条件が決まらない場合や、そもそも話し合いができない場合は、家庭裁判所に対して養育費請求調停を行います。
調停では、調停委員が双方の経済的状況などを考慮して、養育費の条件を提示します。
それでも、養育費の条件について合意できなかった場合には、裁判所の審判により、養育費の条件を決めてもらうことができます。

(2)養育費の金額はどうやって決まるか

養育費の金額は、夫婦間の話し合いによって取り決めることができます。

また、話し合いで決まらず、調停や審判になった場合には、裁判所が定めた「養育費算定表」により判断されます。
たとえば、子どもが1人(0~14歳)で父(支払い者)の給与年収が600万円、母(請求者)の年収が200万円の場合、月額4~6万円で支払うよう判断される可能性が高いです。

あまりに高額の養育費を請求したとしても、支払い者の負担になるため、双方の経済的状況を考慮した平均的な額になります。
それでも、子どもや養育費請求者の生活水準が、支払い者と同等の生活ができる程度の費用を支払うことになっていますから、著しく低くなるということはありません。

(3)養育費に年齢制限はあるのか

原則的に、子どもが20歳になるまでは養育費を受け取ることができます。
現在では、大学に通う子どもが増えたことにより、大学を卒業するまで受け取るよう取り決めることも一般的です。
反対に、養育費を支払う側の経済的な状況により、20歳よりも前に養育費の受け取りが終了することもあります。

(4)養育費は遡って請求できるのか

離婚から一定の年月が経過している場合、その期間の分も含めて養育費を受け取ることはできるのでしょうか。

この点、養育費は請求したとき以降の分から受け取ることができるのが原則です。
これは、離婚から2年が過ぎた後に請求した場合、その2年分の養育費を受け取れることを意味していません。
あくまでも、これから受け取る養育費について請求することができます。

ただし、調停申し立てよりも前に請求していた場合は、この証拠(LINEやメールのやりとりなど)があれば、その分から受け取ることも可能です。

(5)離婚後に養育費を請求するなら弁護士に相談を

実は、離婚時に、養育費の取り決めを行わない夫婦は一定数います(父子家庭:74.4%、母子家庭:54.2%「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果」より)。

子どもの成長に伴う出費の増額や家計の急変により、離婚した後からでも養育費を受け取りたいと考える人は多いのではないでしょうか。

養育費を後から受け取る場合には、元配偶者との交渉や手続きが必要です。
ご自身で行うこともできますが、時間や労力はもちろんのこと、精神的な負担や大きなストレスがかかります。

そのため、弁護士にご相談いただければ、あなたの代わりに交渉や手続きを任せることができます。

養育費の請求などについてお悩みなら、弊事務所までご相談ください。