Q.離婚に同意してくれないので、代筆した離婚届を勝手に提出してもよいですか?

離婚届を勝手に提出してはいけません。

A.一方の配偶者の同意がないまま離婚届を提出しても、離婚は無効です。それのみならず、勝手に代筆した離婚届を提出することは、犯罪になります。

具体的には、離婚届の署名捺印を偽造すれば「有印私文書偽造罪」(刑法第159条1項)、その離婚届を市区町村役場に提出すれば「偽造有印私文書行使罪」(同第161条1項)に問われます。また、戸籍簿に虚偽の内容を記載させることになりますので、「公正証書原本不実記載等罪」(同第157条1項)も成立します。

このように、偽造した離婚届を提出する行為は、犯罪行為です。日本の刑法では、関連するひとつの行為が複数の罪に該当する場合は、もっとも重い刑が適用されます(牽連犯、同第54条後段)。

また、民事上も相手の配偶者から、損害賠償請求を受ける可能性があります。

離婚に至る事情は様々あるかとは思いますが、離婚届を勝手に提出してはいけません。

仮に、離婚届が夫または妻によって提出された場合、市区町村役場から、もう片方の配偶者宛に離婚届の受理通知が送られます。

これは、離婚届が代理人など本人以外から提出された場合、本人が本人確認書類を所持していなかった場合、片方の配偶者だけから提出された場合などにおいて、離婚届が不正に提出されることを防止する仕組みです。

この記事を監修した弁護士

弁護士
金岡 紗矢香

弁護士法人プロテクトスタンス所属 (第一東京弁護士会 No. 56462)

早稲田大学法学部を卒業後、国内大手飲料メーカー勤務などを経て中央大学法科大学院法務研究科を修了(70期)。弊事務所に入所後は子育てをしながら弁護士として活動し、浮気・不倫の慰謝料請求や離婚・男女問題などの分野で活躍中。

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