Q.一度は離婚届に署名押印して夫に渡してしまったのですが、考え直したいです。どうすればよいですか?

A.夫婦の中には、夫婦喧嘩の勢いで離婚届に署名押印してしまった方や、浮気や借金が発覚して、夫婦間の話し合いの中で作成した離婚届を預かられてしまった方もいるかもしれません。

このような場合、離婚届を勝手に提出されないようにするためには、ご自身の本籍地または居所地の市区町村役場に「離婚届不受理の申し出」をすることができます。

この申し出さえをしておけば、配偶者(夫または妻)が勝手に離婚届を提出したとしても、離婚届は受理されません。ただし、離婚届がまだ提出されていないことが前提です。

もしも、離婚届不受理の申し出をする前に、配偶者から離婚届が提出されてしまった場合、受理された離婚届が無効であると主張するためには、裁判所を利用した法的手続(調停や訴訟など)を行う必要があります。これは非常に労力がかかります。

なお、離婚届不受理の申し出の効力は、以前は最長でも6ヵ月間しかありませんでした。しかし、戸籍法の改正により、平成20年5月1日以降は、いったん申し出るとその効力が無期限に続きます。

そのため、実際に離婚することになった場合は、離婚届を提出する前に、申し出を行った配偶者がこの申し出を取り下げる必要がありますので、注意してください。

この記事を監修した弁護士

弁護士
金岡 紗矢香

弁護士法人プロテクトスタンス所属 (第一東京弁護士会 No. 56462)

早稲田大学法学部を卒業後、国内大手飲料メーカー勤務などを経て中央大学法科大学院法務研究科を修了(70期)。弊事務所に入所後は子育てをしながら弁護士として活動し、浮気・不倫の慰謝料請求や離婚・男女問題などの分野で活躍中。

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