Q.不倫相手の親に慰謝料を請求できますか?

A.浮気・不倫の不貞行為による慰謝料の支払い義務があるのは、本人のみです。
そのため、不倫相手が支払いを拒否していたり、支払い能力がなかったりした場合でも、親に対して慰謝料を請求できないのが原則です。

しかし、例外としていくつか認められるケースはあります。

1. 不倫相手が親に支払いや立替えをお願いした場合

本人が親に協力を仰いで資金を援助してもらったり、親が慰謝料を立替払いする場合には、親から慰謝料を受け取ることができます。
ただし、親には支払義務がありませんので、慰謝料を請求する交渉は本人と行うことが必要です。

2. 親が連帯保証人になった場合

不倫相手本人に支払い能力が乏しい場合、慰謝料を分割で支払ったり、親を連帯保証人にする場合があります。
この場合、親が連帯保証人として支払い義務を負いますので、親に対して慰謝料を請求することができます。

3. 不倫相手が未成年の場合

SNSや勤務先で知り合った大学生と不倫するなど、不倫相手が未成年であるケースが昔ほど珍しいものではなくなってきています。
不倫相手が未成年であっても、責任を負うのはあくまでも本人です。不貞行為(肉体関係)という不法行為の責任を問える責任能力があるからです。

ただし、不倫相手が未成年の場合、本人と交渉して示談書(合意書)を取り交わしたとしても、法定代理人である親の同意がなければ、後から取り消されてしまいます。この点には注意が必要です。
もっとも、2022年4月1日から成人年齢が18歳に引き下げられますので、今後は、問題となるケースが少なくなるかもしれません。

いずれの場合においても、慰謝料の請求や交渉は不倫相手である本人と行うことが原則です。
不倫相手に支払い能力が無くとも、その親に請求することはできませんし、もしも慰謝料の支払いを求めてしまうと、別のトラブルにも発展しかねません。

慰謝料の請求・交渉については、弁護士に相談することをおすすめします。

この記事を監修した弁護士

弁護士
金岡 紗矢香

弁護士法人プロテクトスタンス所属 (第一東京弁護士会 No. 56462)

早稲田大学法学部を卒業後、国内大手飲料メーカー勤務などを経て中央大学法科大学院法務研究科を修了(70期)。弊事務所に入所後は子育てをしながら弁護士として活動し、浮気・不倫の慰謝料請求や離婚・男女問題などの分野で活躍中。

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