Q.夫(妻)の浮気相手は収入があまり無さそうなのですが、慰謝料は取れますか?

A.分割払いの検討も必要になりますが、あなたの新しい人生のためにも、しっかりと請求して、獲得を目指しましょう。もし支払いを拒否されたら、弁護士に回収方法について相談したり、財産開示や強制執行の手続きまで依頼することも可能です。

(1)慰謝料の請求は、収入に関係なく可能

慰謝料の請求それ自体は、相手の経済状況には左右されません。

慰謝料とは、不法行為によって被った精神的損害に対する損害賠償のことです。自分の配偶者が不倫(不貞行為)をした場合は、精神的な苦痛を受けたとして、不倫相手と配偶者に対し慰謝料を請求する権利があります。

慰謝料の支払いは法律で認められた権利であるため、資産や収入がないといった相手の経済状況を理由として、その支払いを免れることはできません。

(2)分割払いの検討も必要

しかし、不倫相手がお金を持っていない場合は、事実上、その回収が困難になります。
ただし、慰謝料を一度に全額支払えるような、まとまったお金を持っていなかったとしても、定期的な収入が見込めるのであれば、分割払いによる支払いを認めるのが合理的な場合もあります。

また、分割払いでの支払いが長期にわたるような場合は、分割払いを確実に履行させるために将来のトラブルを予防することが大切です。
具体的には、分割払いの方法、支払いを怠った場合の一括請求条項、強制執行認諾条項などを盛り込んだ公正証書を作成して和解するべきです。

公正証書を作成しておくと、慰謝料の分割払いが滞った際には、給与や預貯金などを差し押さえる強制執行を、裁判を経ずに行うことができるからです。

(3)財産開示を求める

不倫相手が慰謝料を支払いたくないがために、自分の経済状況について嘘をついていたり、財産を隠していたりする可能性があるため、相手の財産開示を求めるのも選択肢のひとつです。預貯金や有価証券などの財産が判明する可能性があります。

それには、弁護士に依頼し「弁護士会照会」という制度を利用して銀行に問い合わせるか、「財産開示手続」を行いましょう。財産開示手続は、裁判所への申立てにより、相手方が裁判所に出頭して、財産状況について陳述する手続きをいいます。

なお、不倫相手が裁判所への出頭を拒否したり、自分の財産について虚偽の申告をしたと判明した場合は、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金という刑事罰が科される可能性があります。

(4)強制執行の流れ

慰謝料の支払いが滞ったり、財産が判明したりした場合は、強制執行により慰謝料を回収することが期待できます。次に、強制執行の流れを簡単に説明していきます。

4-1. 執行文の付された債務名義の取得

強制執行を行うためには、「相手に慰謝料を支払う義務がある」ことを証明する法的な書類(債務名義)が必要です。
債務名義は、たとえば強制執行認諾条項付き公正証書(執行証書)や、裁判の確定判決、和解調書などが該当します。

債務名義を取得できたら、裁判所に執行文を付与してもらう必要があります。執行文は、債務名義が強制執行に適していることを証明する追加の書類です。執行証書については公証人が、執行証書以外の債務名義については裁判所書記官が付与します。

4-2.債務名義の送達証明書の取得

次に、強制執行を申し立てる前に、債務名義を相手に送達したことを証明する書類(送達証明書)を取得する必要があります。

債務名義は強制執行の根拠となるものですから、事前に債務者(慰謝料の支払義務の相手)に対して、「あなたは強制執行を受ける可能性があります」という通知をすることで、弁済や反論の機会を与えて、強制執行を回避するチャンスを与えるためです。

なお、判決・調停調書の場合は、裁判所で送達証明書を発行してもらいますが、
公正証書の場合は、公正証書を作成したときに謄本が手渡しされ、送達がなされたことになります。

4-3.強制執行を申立てる

そして、債務者の住所地を管轄する地方裁判所に、必要書類を添えて強制執行申立書を提出します。

住所がわからないときは、差し押さえたい債権の所在地を管轄する地方裁判所でも申し立てができます。たとえば、給与を差し押さえる場合は相手の勤務する会社、預貯金を差し押さえる場合は口座がある銀行の所在地です。

4-4.差し押さえの実施

裁判所が差し押さえ命令を発令すると、給与や預貯金などの差し押さえが実行されます。

差し押さえの通知を受け取った勤務先や金融機関は、差押えたお金を債権者に支払います。ただし、給与の差し押さえでは、差し押さえ対象金額は債務者の手取りの4分の1までに制限される旨が法律で定められています。

(5)自己破産されてしまった場合

しかし、もし相手が自己破産をするような場合は、慰謝料の獲得が困難となるケースもあります。

裁判所に自己破産を申し立てて免責許可が下りた場合、税金の支払いなどを除き、借金などの債務の返済は基本的に免除されます。
そして、免除される対象には、一部の例外を除き、慰謝料の支払いも含まれます。

そのため、浮気・不倫の慰謝料を支払うと約束していた人が自己破産すると、慰謝料が支払われなくなる可能性があるのです。

例外的に、相手が自己破産しても慰謝料の支払いが免責されず、獲得できるケースもあります。こちらのコラムで詳しく説明しているので、ぜひご覧になってください。

不倫の慰謝料を支払うと約束した人が自己破産!果たして支払ってもらえるのか?

(6)弁護士法人プロテクトスタンスにご相談ください

不倫相手に自分で慰謝料を請求することは、精神的に大きく負担がかかってしまいます。特に、相手が収入の少なさを理由に支払いを拒む場合、交渉が長引くこともあります。

弁護士が代理人となることで、相手に一括で支払う能力がない場合でも、分割払いなどの支払い方法を提案し、履行されない場合の法的手続きを視野に入れて合意を目指すことができます。

弊事務所では、返金保証制度をご用意しております。慰謝料を請求して、経済的な利益がまったく得られなかった場合は、着手金をご返金しております。
ぜひ、一度弁護士にご相談ください。

この記事を監修した弁護士

弁護士
金岡 紗矢香

弁護士法人プロテクトスタンス所属 (第一東京弁護士会 No. 56462)

早稲田大学法学部を卒業後、国内大手飲料メーカー勤務などを経て中央大学法科大学院法務研究科を修了(70期)。弊事務所に入所後は子育てをしながら弁護士として活動し、浮気・不倫の慰謝料請求や離婚・男女問題などの分野で活躍中。

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