Q.不倫相手が許せないのですが、不倫は犯罪ではないのですか?

A.日本の法律では、不倫は犯罪ではなく、刑事罰を科されることはありません。しかし、民事上の不法行為であるため、不倫をされた側は慰謝料を請求する権利があります。

愛する人に裏切られた苦しみや、不倫相手に与えられた苦痛は、筆舌に尽くしがたいものだと思います。精神的な苦痛を考えると、慰謝料を獲得することは、とても大事です。

苦しんでいらっしゃる方は、私たちにご相談ください。より高額な慰謝料を獲得できるよう、全力でサポートいたします。

この記事では、不倫が犯罪となる例外のケースや、日本での姦通罪の歴史、不倫を犯罪としている海外の国などをご紹介します。

(1)不倫が犯罪となるケース

日本の法律では、不倫は犯罪ではありません。しかし状況によっては、不倫(不貞行為)が犯罪に該当するケースもあります。

①同意がない場合

たとえば、あなたの配偶者が、同意なく性的関係を持たされてしまった場合、相手の行為は当然、犯罪になります。

日本では、同意がない性的行為は「不同意性交等罪」として処罰されます(刑法第177条)。刑罰は5年以上20年以下の懲役です。被害に遭ってしまった場合は、すぐに警察に連絡してください。

希望すれば女性警察官が話を聞くなどの配慮をしてくれますので、気を強く持って通報してください。

弊事務所にも女性弁護士が在籍しており、刑事告訴のサポートも行っています。弁護士の力が必要になった際は、まずは安心してご相談ください。

②未成年との不倫の場合

次は、あなたの配偶者が、未成年と同意のうえで不倫をしていたケースを解説します。

不倫相手が未成年の場合は、慰謝料を請求することはできないだろう、と思う方が多いようですが、実は、相手が未成年の場合でも、12歳程度に達していれば、慰謝料を請求することは可能です。

刑法では、14歳未満の者には責任能力(善悪を判断し自分の行動を制御する能力)を問うことができませんが、民法では、およそ12歳以上であれば、責任能力があるとする判例があるためです。

しかし、仮に同意があったとしても、あなたの配偶者が未成年と性的関係を持ってしまった場合、配偶者が罪に問われたり、相手の保護者から慰謝料を請求されたりする可能性があります。

日本の法律では、「16歳未満」の子どもは、まだ性交に同意するかしないかの判断能力が不十分だとしています。そのため、16歳未満の子どもと性的関係を持つことは、同意があったとしても、不同意性交等罪として処罰されます。

しかし、子ども(被害者)が13歳以上16歳未満の場合は、行為の相手(加害者)が5歳以上年上のときに限られます。

以前は、13歳未満の子どもと性的関係を持つことを「強制性交等罪」として処罰していました。しかし、2023年(令和5年)7月13日、性犯罪の規定を見直す改正刑法が施行されて不同意性交等罪が新設され、性交同意年齢が16歳未満に引き上げられたのです。

また、都道府県の青少年保護育成条例では、18歳未満との性的関係を禁止し、刑罰を規定している場合があります。

(2)1947年まで、不倫は犯罪でした

江戸時代の日本では、不倫は「不義密通」とされ、既婚女性が夫以外の男性と肉体関係を持った場合、その女性と不倫相手の男性は、両者とも死罪となる重罪でした。また、不倫された夫が両者を殺しても罪には問われなかったようです。

その一方で、既婚男性が独身女性と不倫しても、それは罪になりませんでした。男性が罰されるのは、既婚女性と不倫したときのみであり、これは徹底的な男女不平等です。

明治時代に入ると、既婚女性が夫以外の男性と肉体関係を持った場合、その女性と不倫相手の男性は「姦通罪」という犯罪になりました(旧刑法第183条)。

刑罰は2年以下の懲役で、罰金や拘留がないため重罪の部類になります。しかし、またしても、既婚男性が独身女性と不倫しても、犯罪ではありませんでした。

そして、戦後まもなくの1947年、姦通罪は廃止されました。廃止の背景には、日本国憲法の制定により男女平等に反することや家制度の解体、個人の自由の尊重が進んだことなどが挙げられます。

(3)不倫を犯罪としている国

海外の一部の国では、今もなお、不倫を犯罪としています。

たとえばフィリピンでは、男性の姦通罪は最大で4年の禁固刑、女性の姦通罪は最大6年の禁固刑と定められています。また、配偶者の不倫現場に遭遇した際は、暴力をふるっても罪に問われないようです。

また、宗教的な戒律が法律に強く影響を与える国では、婚姻の神聖性を守るため、厳しい刑罰が設けられています。

イスラム法(シャリア)では、不倫は死刑が適用される犯罪と定められています。現代では裁判を経て死刑執行にまで至ることは稀で、石打ちや鞭打ちの刑などの身体罰が科されているようです。

しかし、農村部では自主的に死刑が執行されることがあるようです。パキスタンやブルネイなど、シャリアを厳格に適用する国を旅する際は、十分にお気を付けください。

一方で、日本のように、かつては不倫を犯罪と定めていた国が姦通罪を廃止する動きも見られます。その代表例が韓国と台湾です。

韓国では長い間、姦通罪が存在し、不倫をした者は最大2年の懲役に処されていました。しかし、2015年の憲法裁判所の判決によりこの法律は廃止され、不倫は民事上の損害賠償請求の対象となるだけで、刑事罰の対象ではなくなりました。

台湾もかつては姦通罪が存在していましたが、2020年に台湾最高法院(司法院大法官会議)がこの罪を違憲と判断し、韓国と同じく、不倫は民事上の損害賠償請求の対象のみとなりました。

(4)弁護士法人プロテクトスタンスにご相談ください

不倫は確かに、許せないことです。しかし、個人の自由を尊重する日本の法律では、刑事罰を求めることはできません。せめて、慰謝料を獲得して強い気持ちで新たな人生を踏み出しましょう。

法律の専門家である弁護士が代理人となることで、より高額の慰謝料を獲得することができます。自ら交渉しなくてよいため、精神的な負担も軽減されます。

弊事務所では、返金保証制度をご用意しております。慰謝料を請求して、経済的な利益がまったく得られなかった場合は、着手金をご返金しております。
ぜひ、一度弁護士にご相談ください。

この記事を監修した弁護士

弁護士
金岡 紗矢香

弁護士法人プロテクトスタンス所属 (第一東京弁護士会 No. 56462)

早稲田大学法学部を卒業後、国内大手飲料メーカー勤務などを経て中央大学法科大学院法務研究科を修了(70期)。弊事務所に入所後は子育てをしながら弁護士として活動し、浮気・不倫の慰謝料請求や離婚・男女問題などの分野で活躍中。

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