Q.浮気・不倫相手の職場に、不倫の事実をバラしてもいいですか?

A.報復したいというお気持ちはよくわかりますが、浮気・不倫相手の職場に不倫の事実をバラした場合、逆に、損害賠償を請求されたり、刑事責任を追及されたりする危険性があります。

(1)名誉棄損罪や侮辱罪

相手の会社内・職場内に不倫の事実をバラした場合、不特定または多数が知り得る状況で具体的な事実を告げて、人の社会的評価を低下させることになります。

これは、名誉棄損に該当することになり、民事上は損害賠償を請求される可能性がありますし、刑事上は名誉棄損罪(法定刑は3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金)が成立する可能性があります。

仮に「不倫している」などの具体的な事実を適示せず、「淫乱女」「スケベ野郎」などと言った場合には、名誉棄損罪ではなく、侮辱罪(法定刑は拘留または科料)が成立する可能性があります。

(2)威力・偽計業務妨害罪

また、勤務先に何度もしつこく電話を架け続けたり、嫌がらせしたり、社内にビラをばら撒いたような場合は、その会社の業務を妨害したとして、威力・偽計業務妨害罪(法定刑は3年以下の懲役または50万円以下の罰金)が成立する可能性があります。

(3)脅迫罪

さらに、浮気・不倫相手との関係においても、「夫(妻)と別れないなら、不倫を会社にばらす」ことを告げれば、脅迫罪(法定刑は2年以下の懲役または30万円以下の罰金)に問われる可能性があります。

(4)恐喝罪

そして、「〇〇円(要求額)の慰謝料を支払わなければ、会社にバラす」などと告げた場合は、恐喝罪(法定刑は10年以下の懲役)に問われる可能性があります。

以上のように、相手の職場に不倫の事実を知らせることは、民事・刑事の両方から責任を問われることになり得ますので、思い止まるべきです。

慰謝料の請求を自分で交渉しようとすると、思わぬトラブルに巻き込まれ、取り返しのつかないことや、望まぬ不本意な結果になりかねません。

感情を抑えて冷静に交渉することそれ自体が難しいものです。法的に正しい交渉や適切な対応をするためにも、慰謝料の獲得交渉は弁護士にお任せください。

この記事を監修した弁護士

弁護士
金岡 紗矢香

弁護士法人プロテクトスタンス所属 (第一東京弁護士会 No. 56462)

早稲田大学法学部を卒業後、国内大手飲料メーカー勤務などを経て中央大学法科大学院法務研究科を修了(70期)。弊事務所に入所後は子育てをしながら弁護士として活動し、浮気・不倫の慰謝料請求や離婚・男女問題などの分野で活躍中。

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