Q.交際相手から別居中だと聞いていたのですが、慰謝料を支払わないといけないのですか?

A.夫婦の婚姻関係が破綻した状態で別居し、その後に交際相手と不貞行為(婚姻中の配偶者と性的関係を持つこと)があった場合、慰謝料の支払義務はありません。

これは、不貞行為が、他の配偶者に対する不法行為となるのは、夫婦の平穏な婚姻共同生活の維持という法的保護に値する利益を侵害するからです。

実際に不貞行為が行われたとしても、不貞行為から守られるべき婚姻共同生活の実態がなければ損害が発生していません。

そのため、不貞行為が行われた当時に夫婦関係が既に破綻していた場合は、特段の事情がない限り、不法行為責任が発生せず、慰謝料の支払義務はありません(最判平成8年3月26日)。

つまり、慰謝料の支払義務が発生するか否かは、「当時、交際相手の夫婦関係が破綻していたか」という点にかかっています。

そして、夫婦関係の破綻を客観的に示すことができるのが、別居の理由や別居の期間です。

ただし、ひとくちに別居といっても、里帰り出産のための別居、単身赴任や長期出張による別居、夫婦関係をやり直すための冷却期間としての別居、期間がまだ短い別居など夫婦の数だけ様々な事情があります。

この点、離婚協議をしているとか離婚調停を申し立てるなど離婚を前提とした別居であったり、期間が3年~5年以上に及んでいる別居などであれば、夫婦関係の改善が見込めず、夫婦生活の実体もないため、婚姻期間の破綻が認められるといえます。

また、別居中における不貞行為の慰謝料は、別居がない場合に比べて減額されやすい傾向があります。

しかし、相手方(交際相手の配偶者)は、さまざまな事実を使いながら、夫婦関係が実は破綻しなかったという主張・立証をしてくるでしょうし、相場よりも遥かに高額な慰謝料を請求してきている可能性もあり得ます。

別居中の浮気・不倫で慰謝料の請求を受けた場合には、弊事務所にお任せください。慰謝料の支払いを回避したり、慰謝料の適正な減額に向けた示談交渉を行い、ご依頼者にとって最も有利な解決を図ります。

この記事を監修した弁護士

弁護士
金岡 紗矢香

弁護士法人プロテクトスタンス所属 (第一東京弁護士会 No. 56462)

早稲田大学法学部を卒業後、国内大手飲料メーカー勤務などを経て中央大学法科大学院法務研究科を修了(70期)。弊事務所に入所後は子育てをしながら弁護士として活動し、浮気・不倫の慰謝料請求や離婚・男女問題などの分野で活躍中。

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