Q.離婚相手の元にいる子どもに会いたいのですが。

正当な理由がないにも関わらず、子どもに会えない場合は……

A.離婚が成立して、子どもと離れて暮らすことになった父親(あるいは母親)が、定期・不定期を問わず、子どもと直接会ったり、電話やLINEなどの方法で交流することを、面会交流といいます。

離婚する際、父親と母親のどちらかを親権者とするか、必ず決めなければなりません。しかし、面会交流は必ず決めなければならないという決まりはありません。

しかし、面会交流は民法という法律で定められている権利でもあり(第766条)、また、たとえ離れて暮らすことになったとしても、片方の親より、両方の親からの愛情を受けて育った子どもの方が、情緒豊かな人間に育つともいわれています。

面会交流は、当事者の話し合いで決着がつかない場合、他の離婚などの諸手続きと同じように、家庭裁判所に面会交流の調停を申し立てます。

そして、調停が不成立の場合は、面会交流の審判を経て、面会交流の具体的な内容が決められます。

もしも、裁判で決められた面会交流が、正当な理由がないにも関わらず行われない場合、取るべき手段として2種類の方法があります。

1.履行勧告

裁判所が、相手に対し面会交流を実施するように説得したり、注意したりする手続きです。

2.間接強制

履行勧告が無視されたとしても、強引に親の元から子どもを引き離して、面会交流を実現させることはできません。この場合、たとえば「面会交流を1回拒否するたびに〇万円の金員を支払え」といった罰金を科すことにより、相手にプレッシャーをかける手続きです。


この間接強制を無視すると、定められた罰金に対して強制執行を行うことが可能ですから、面会交流に応じせざるを得ないという強い圧力がかかります。

もちろん、子どもへ暴力を振るわれる可能性や、子ども自身が嫌がっている場合など正当な理由がある場合は、面会交流を拒否するあるいは延長することが可能です。

なお、新型コロナウィルスの感染拡大防止を理由として、面会交流を拒否するケースが増えているようです。法務省は、この事態に対して、直接会えない場合でも、オンラインでのビデオ通話などの通信手段を用いて、なるべく面会交流の実現に努めるように注意喚起しています(2020年9月時点)。

この記事を監修した弁護士

弁護士
金岡 紗矢香

弁護士法人プロテクトスタンス所属 (第一東京弁護士会 No. 56462)

早稲田大学法学部を卒業後、国内大手飲料メーカー勤務などを経て中央大学法科大学院法務研究科を修了(70期)。弊事務所に入所後は子育てをしながら弁護士として活動し、浮気・不倫の慰謝料請求や離婚・男女問題などの分野で活躍中。

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