Q.子どもとの面会交流はどのように決めますか?

A.面会交流とは、離婚後に子どもと離れて暮らしている親(非監護親)が子どもと一緒に過ごして交流を図ることをいいます。また、実際に直接会うだけでなく電話やメール、手紙の交換など間接的な方法も含まれます。

面会交流を行う頻度や場所、時間などを決める際は、まず夫婦で話し合ったうえで、合意できなければ調停、審判の順で手続きを進めていきます。

(1)面会交流について決めるべき内容

面会交流の方法は、子どもと同居する親(監護親)と非監護親が、まずは話し合い(協議)を通じて決めます。たとえば、次のような内容について話し合います。

  • 面会交流の可否(そもそも行うかどうか)
  • 面会交流の方法(直接会う、電話、メールなど)
  • 面会交流の頻度(月間や年間で実施する回数など)
  • 面会交流の長さ(面会する時間や宿泊する場合の日数など)
  • 面会交流の場所(どこで会うか、行って欲しくない場所など)

また、面会交流の実施後にトラブルに発展することがないよう、次のような細かいルールも事前に決めておくとよいでしょう。

  • 面会交流を行う際の待ち合わせ場所や、目的地までの交通費の精算方法
  • お小遣いやプレゼントなどの予算
  • 学校行事への参加を認めるか、認めるなら面会交流の日数にカウントするか
  • 非監護親の祖父母との面会交流を認める場合のルール
  • 一定期間の中止など、面会交流のルールに違反した場合のペナルティ

合意した内容については、後になって言った言わないの揉め事になるのを避けるため、「合意書」や「公正証書」として残すことをおすすめします。

(2)協議がまとまらない場合の調停・審判とは

協議で合意できなかった場合は、家庭裁判所に面会交流調停を申し立てます。調停は、調停委員に仲介してもらいながら話し合いを続け、合意による解決を目指す手続きです。

調停でも双方が合意できない場合は、自動的に審判へ移行します。審判では、監護親や非監護親からの主張や証拠にもとづき、面会交流の可否や面会交流の方法などを裁判官が判断します。

審判や調停では、子どもの年齢、性別、性格、生活環境、意見といったさまざまな点から、面会交流の実施が子どもの利益になるかどうか重視します。

このうち、子どもの意見については、審判へ移行した場合、子どもが15歳以上であれば裁判所が必ず聴取します(家事事件手続法第152条2項)。なお、実務上は10歳前後から子どもの意見を聞くケースが少なくありません。

また、家庭裁判所調査官という職員が調査(調査官調査)を行う場合や、試行的面会交流を実施する場合があります。

(3)調査官調査と試行的面会交流

調査官調査では、監護親や非監護親、子どもとの面談などを通じ、調査官が子どもの監護状況を調べます。自宅や学校、保育園、幼稚園などを訪問し、子どもの生活状況や健康状態、発育状態などを調査する場合もあります。

試行的面会交流は、調査官の立ち会いのもと、家庭裁判所内で非監護親と子どもが試験的に面会交流する手続きです。面会交流を行うことに支障や課題がないかを調べます。

調査官調査や試行的面会交流の結果は、裁判所が面会交流の可否や方法を決める際の重要な判断材料となります。

(4)面会交流が認められないケース

非監護親が離婚後も子どもに会いたいと願っていても、面会交流が必ず認められるわけではありません。たとえば、次のような事情がある場合、審判などで面会交流が認められない可能性があります。

  • 子どもが面会交流を嫌がる
  • 非監護者が子どもに暴力を振るうおそれがある
  • 非監護親にアルコール依存や薬物使用などがある
  • 非監護者が子どもを連れ去る可能性がある

特に、15歳以上の子どもが嫌がるような場合、面会交流が認められない可能性が高いと考えられるでしょう。

(5)面会交流を決めるタイミング

離婚前に子どもの親権者を決めておかなければ離婚することができませんが、面会交流のルールは決めておく必要がありません。そのため、離婚の条件に関する話し合いの途中や、離婚後の落ち着いた時期など、都合が良いタイミングで決めることもできます。

ただし、夫婦関係が悪い状態で離婚する場合、面会交流のルールを離婚後に決めようとしても、冷静な話し合いができず、トラブルに発展する可能性があります。そのため、離婚の条件を決める話し合いの中で、面会交流についても取り決めておくことをおすすめします。

(6)面会交流と養育費は別問題

離婚に向けた話し合いの中で、「面会交流を断るなら養育費を支払わない」とか、逆に「面会交流を認めて欲しければ養育費をもっと支払え」などと主張する人がいます。

ただし、面会交流は子どもの健やかな成長のために非監護親と子どもが触れ合う機会であり、養育費は子どもの監護や教育のために必要な費用です。つまり、いずれも子どもの利益を目的とするものなので、面会交流の実施や養育費の支払いなどを求めるための引き換え条件にすることは認められません。

(7)面会交流を決める際は専門家へ相談

離婚に伴うさまざまなトラブルは弁護士に相談するとよいでしょう。慰謝料や財産分与などお金に関するトラブルはもちろん、親権者や面会交流といった子どもに関する交渉も任せられるので心強いです。

弁護士であれば相手方と関係が悪化していても冷静に話し合えますし、調停や審判になった場合も代理人として出席してくれます。

特に、調停や審判では、子どもの利益よりも自分の希望を優先するような主張をしていると、納得できる結果を得られないかもしれません。不利な状況になるのを避けるためには、適切な主張を積み重ねることが重要なので、弁護士に依頼した方がよいでしょう。

弁護士法人プロテクトスタンスには慰謝料や養育費、親権など、離婚に伴うさまざまな問題の解決実績が豊富な弁護士が多数在籍しています。また、不倫・浮気の慰謝料請求についても多くのご依頼をいただいており、所員一同、最後まで手厚くサポートいたしますので、安心してお任せください。

この記事を監修した弁護士

弁護士
金岡 紗矢香

弁護士法人プロテクトスタンス所属 (第一東京弁護士会 No. 56462)

早稲田大学法学部を卒業後、国内大手飲料メーカー勤務などを経て中央大学法科大学院法務研究科を修了(70期)。弊事務所に入所後は子育てをしながら弁護士として活動し、浮気・不倫の慰謝料請求や離婚・男女問題などの分野で活躍中。

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