Q.養育費の増額を請求することはできますか?

養育費の増額を請求することはできますか

A.養育費は、離婚時の話し合い(協議離婚)で合意を得たり、離婚調停や離婚訴訟で取り決めたりするものなので、一度決まった金額を変更することは簡単ではありません。

しかし、生活状況の変化や、予測できない事情の発生などにより、養育費を増額する必要があれば、増額を請求することができます。

(1)養育費の増額が認められやすいケース

以下のような状況に当てはまる場合、養育費を増額する必要があるとして、請求が認められやすいと考えられます。

  • 子どもの病気やケガにより高額な医療費が必要になった
  • 子どもの進学や習い事により教育費が増えた
  • 子どもの養育者(監護者)の収入が減少した、失職した

また、増額を求める側の事情だけでなく、出世や転職などにより養育費を支払う側(元パートナー)の収入が大幅に増えたといった事情でも、増額が認められる可能性があります。

(2)養育費の増額を請求する方法

養育費の増額を請求するための主な手続きとして、以下の3つがあります。

  • 元パートナーとの話し合い
  • 養育費増額調停
  • 養育費増額審判

まずは元パートナーとの話し合いを通じ、養育費の増額が必要になったことを説明して増額を請求します。
話し合いに応じてもらえない場合は、内容証明郵便を利用して養育費増額の請求書を送付する方法もあります。

話し合いで増額後の金額や、増額するタイミングなどについて合意が得られたら、後々になって言った言わないのトラブルが発生するのを防ぐため、合意した内容を書面にしておく方がよいでしょう。

また、書面を作成する場合は公正証書にすることをおすすめします。
公正証書は公証人という公務員が作成し、公証役場に保管されるので、元パートナーに「書類は偽物だ」などと主張される心配はありませんし、書類の紛失も回避できます。

さらに、強制執行認諾文言がある公正証書を作成すると、合意内容が守られない場合に、相手の給与を差し押さえることなどが可能になります。
公正証書の作成には手間と費用がかかりますが、トラブルの発生や、養育費の不払いなどのリスクと比較すると、作成するメリットの方が大きいと言えるでしょう。

元パートナーとの話し合いがまとまらず、増額に合意してもらえない場合は、相手の居住地を管轄する家庭裁判所に養育費増額調停を申し立て、第三者である調停委員を交えて話し合いを継続することができます。
調停が成立すれば、調停調書が作成され、増額された養育費の支払いが開始されます。

調停でも話し合いがまとまらなかった場合、つまり調停が不成立(不調)に終わった場合は、家庭裁判所の養育費増額審判という手続きに移行します。
審判では、裁判官が様々な事情を総合的に考慮して、養育費増額の是非や金額などを判断して命じます。

(3)増額後の養育費も算定表がベースになる

養育費をいくら増額するかについては、基本的には相手の合意が得られるのであれば、自由に決めることができます。

希望する金額に応じてもらえない場合は、裁判所が定める「養育費算定表」をベースに決めることになります。
算定表では、子どもの年齢のほか、自分と相手の収入を基準に養育費を決めるので、自分の収入が減っていたり、元パートナーの収入が増えていたりすれば、増額が認められやすくなります。

(4)養育費の増額請求は弁護士に相談を

養育費の増額請求には、そもそも増額が認められるか、どの程度増額できるかなどを判断するための知識が必要なので、離婚問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

また、養育費の増額交渉を依頼すると、交渉と駆け引きのプロである弁護士が増額に正当な理由があることを示し、相手を説得してくれますし、相手と直接会わずに解決を目指すこともできます。

弊事務所には離婚問題に詳しい弁護士が多く在籍しています。
また、不倫・浮気の慰謝料請求についても豊富な実績がございますので、ぜひ一度ご相談ください。

この記事を監修した弁護士

弁護士
金岡 紗矢香

弁護士法人プロテクトスタンス所属 (第一東京弁護士会 No. 56462)

早稲田大学法学部を卒業後、国内大手飲料メーカー勤務などを経て中央大学法科大学院法務研究科を修了(70期)。弊事務所に入所後は子育てをしながら弁護士として活動し、浮気・不倫の慰謝料請求や離婚・男女問題などの分野で活躍中。

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