慰謝料・離婚の法律用語集
- 再婚禁止期間[さいこんきんしきかん] とは?
女性は原則として、離婚後100日間を経過した後でなければ、再婚することができませんでした。これを再婚禁止期間と呼びます(民法第733条1項)。
これは、離婚のみならず、夫が死亡した場合や、婚姻を取り消した場合も同様です。また、男性には、再婚禁止期間は適用されません。
なお、再婚禁止期間は民法の改正により、2024年4月1日から廃止となりました。
(1)再婚禁止期間の趣旨
再婚禁止期間は、子どもの父親を特定し、子どもの身分関係を早期に確定させることを狙いとしています。
母子関係は分娩によって明らかですが、父子関係はDNA検査を行わなければ、正確に確認することはできません。しかし、法律上の夫婦関係にあるにもかかわらず、夫が「自分の子どもだとわからないから養わない」と言い出せば、子どもの身分関係が非常に不安定になります。
これを防ぐために、民法には「嫡出推定規定」というものがあります。- 再婚後200日経過した後に生まれた子ども:再婚相手の子どもと推定
- 離婚後300日以内に生まれた子:元夫の子と推定
たとえば、女性が離婚後すぐに再婚し、妊娠したとしましょう。
再婚から200日経過したものの、離婚から300日経過していない間に出産した場合、前夫と現夫とが、父親として重複して推定を受けることになります。
これでは、子どもの身分関係が著しく不安定となります。そのため、再婚禁止期間が設けられていたのです。(2)嫡出推定規定の見直しと再婚禁止期間の廃止
嫡出推定規定により、夫と離婚して子どもの実父にあたる男性と再婚しても、離婚から300日以内に子どもが生まれた場合は元夫の子どもとして扱われます。
子どもの戸籍上の父親が元夫となることを避けるため、母親が出生届を提出せず、戸籍がない人(無戸籍者)が存在していることが問題視されていました。このような問題を解決するため、2022年に民法が改正され、2024年4月から嫡出推定規定が見直されるとともに、再婚禁止期間が廃止されました。
見直しの具体的な内容としては、離婚後300日以内に子どもが生まれても、出産の時点で母親が再婚していれば、再婚した夫の子どもと推定されます。
見直しにより、前夫と現夫が子どもの父親として推定される期間の重複がなくなるため、再婚禁止期間も廃止されたのです。