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慰謝料・離婚の法律用語集 -か行-

か行の法律用語一覧

「か」から始まる用語

確定期限[かくていきげん]

到来する期日が確定している期限のことです。たとえば、浮気不倫不貞行為に伴う慰謝料を請求した際に和解が成立したとします。

この和解内容について、「4月15日までに慰謝料を支払う」という合意書を取り交わした場合、4月15日が確定期限となります。

これに対して、将来発生することは確実なのですが、それがいつ到来するかは確定していない期限を不確定期限と呼びます。

家裁[かさい]

家庭裁判所の略です。法律用語では、他業種と同じように、略称で呼ぶことがあります。

もし、離婚調停離婚訴訟の際に、弁護士や裁判所の方が「かさい」と言った場合は、家庭裁判所を指していると思いますので、覚えておいてください。

家事事件[かじじけん]

民事事件や刑事事件という呼び方と同様に、離婚や相続など家庭内・親族間のもめごと(紛争)を家事事件と呼びます。

「家事」といっても、掃除洗濯といった家庭における日常作業を指すのではなく、家庭内で起こる事柄という意味です。また、「事件」と呼ぶと仰々しい印象がありますが、裁判所で取り扱う案件は~事件と呼ばれています。

離婚手続が典型ですが、家事事件は当事者間に感情的なもつれがある、非常にデリケートでプライバシーに深く関わる手続きです。

そのため、単純に法律を当てはめて解決を図るような性質のものではありません。代理人として離婚に強い弁護士のサポートが必要です。

また、家庭裁判所が、当事者の納得が得られる円満な解決を目指して、後見的な立場から関与していきます。

離婚の場合、調停手続(離婚調停)、審判手続(離婚審判)、訴訟手続(離婚訴訟)などが家事事件として取り扱われます。

家事審判[かじしんぱん]

離婚や相続など家庭内の紛争について、家庭裁判所が行う審判のことです。

この点、家事調停は、当事者の合意によって紛争解決を図ります。しかし、家事審判は、家事審判官が当事者の意思に拘束されずに判断しますので、家事調停とは異なります。

また、「審判」とは、訴訟と似たようなイメージですが、口頭弁論を行わないことなどの点で、訴訟とは異なります。

家事審判の対象となる事件は、大きく2種類に分かれています。
最初から家事審判を申し立てる別表第1事件(甲類事件)と、調停と審判のどちらからでも申し立てることができる別表第2事件(乙類事件)です。

家事審判で決定された内容は2週間を過ぎると確定し、訴訟における確定判決と同一の効力が生じます。

たとえば、離婚に際して子どもの氏の変更許可の審判が確定すれば、戸籍の変更ができるようになりますし、養育費の請求に関する審判が確定すれば、審判の内容にしたがった養育費を支払わなければなりません。

家事審判官[かじしんぱんかん]

家庭裁判所において家事審判を取り扱う裁判官のことを、特にこのように呼びます(正式な官名や役職名ではありません)。

離婚審判の際には、家事審判官が当事者の言い分を聴取したり、当時者から提出された証拠を調査するなどして、審判を行います。

家事調停[かじちょうてい]

夫婦、親子、親族間のもめごと(紛争)について、家庭裁判所で行う調停のことです。裁判官である家事審判官1名と、民間から選ばれた調停委員2名以上で構成される調停委員会が中立の立場で当事者の間に入り、話し合いによって円満な解決を目指していくことになります。

家裁での話し合いは非公開で行われ、原則として、双方から別々に話を伺い、一方の意見を他方に伝える形式で交互に進められます。

調停の結果、話し合いがまとまると調停成立となり、その内容を記載した調停調書が作成されます。

この調停調書は、確定判決と同一の効力が認められます。また、話がまとまらない場合は調停不成立となり、手続は終了します。

家庭裁判所[かていさいばんしょ]

離婚や親子関係など家庭に関する事件の調停(家事調停)や審判(家事審判)、少年事件などを担当する裁判所を家庭裁判所と呼びます。弁護士などの法曹関係者は、略して「家裁(かさい)」と呼んでいます。

離婚手続においては、離婚調停離婚審判離婚訴訟の手続を、簡易裁判所や地方裁判所ではなく、この家庭裁判所で行います。そして、これらを家事事件と呼びます。

家庭内の紛争は家族の感情的な対立が背景にありますので、法律的な判断により解決を図るのみならず、お互いの感情的な対立を解消することが必要です。

また、個人のプライバシーに配慮する必要があります。

そのため、家事事件は非公開の手続きで進められ、裁判所が職権的かつ後見的な立場から、具体的妥当性を図りながら関与する仕組みとなっています。

家庭裁判所は、全国47都道府県の県庁所在地と、例外的に北海道の函館、旭川、釧路の計50か所に本庁が設けられています。

また、各都道府県には、その支部や出張所も設けられています。

なお、浮気不倫不貞行為に対する慰謝料の請求について、裁判に訴える場合は、家庭裁判所ではありません。簡易裁判所や地方裁判所に訴訟を提起しますので注意してください。

「き」から始まる用語

強制執行認諾条項[きょうせいしっこうにんだくじょうこう]

離婚協議書を公正証書にした場合、養育費慰謝料、財産分与など金銭の支払いに関する内容について、公正証書の中に「不履行の場合には強制試行されても異議を申し立てない」との条項を入れておくことができます。これを「強制執行認諾条項」とか「強制執行認諾文言」などと呼びます。

一般的な離婚協議書や公正証書であったとしても、強制執行認諾条項がない場合、合意内容について約束が守られなかったときは、訴訟を提起して、判決などの債務名義を取得する必要があります。

しかし、強制執行認諾条項の付いた公正証書があると、相手が支払わなかった場合、訴訟を起こして判決を得ることなく、相手の預貯金や給料など差し押さえることができるようになります。そのため、協議離婚において公正証書を作成する場合には、強制執行認諾条項を盛り込むことをおすすめします。

なお、前述した通り、公正証書に基づいて強制執行ができるのは、金銭の支払いに限られます。マンションなど不動産の明渡しは対象となりませんので、注意してください。詳しいことは、弁護士に相談することをおすすめします。

強制認知[きょうせいにんち]

婚姻関係にない男女間に子どもが生まれた場合、父親が認知に協力(任意認知)してくれないときは、家庭裁判所の手続きを利用して、強制的に法律上の父子関係を確定させることができます。これを強制認知または裁判認知と呼びます。


(1)まずは認知調停を申し立てる

最初から家庭裁判所に認知の訴えを提起することはできません。先に認知調停を申し立てる必要があります。これは離婚と同じ趣旨です(調停前置主義)。

もちろん、子どもはまだ小さいでしょうから、子どもの法定代理人である母親が、相手方となる父親の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てることになります。

認知調停では、相手方の男性が父子関係を認めて合意できれば、裁判所が合意に相当する審判を下し、審判書が作成されます。
そして、その審判書謄本および確定証明書を持って、父親あるいは子どもの本籍地、届出人の所在の市区町村役場の戸籍課に行き、認知届を提出します。

しかし、男性が認めない場合は、申立人である女性側が、妊娠・出産した子どもの父子関係を証拠によって証明(立証)しなければなりません。そこで利用されるのがDNA鑑定です。


(2)認知調停で解決できない場合

しかし、そもそも男性が裁判所からの呼び出しを無視して、調停期日に出頭しなかったり、DNA鑑定に協力しなかったりすることがあります。

また、DNA鑑定により父子関係が証明されたにもかかわらず、認知届を提出しなかったり、裁判所による認知の審判に異議を申し立てるなど、調停手続では解決できないことがあります。
このような場合、認知の訴え(認知請求訴訟)を提起する必要があります。


(3)認知の訴えにより最終的な解決を図る

認知の訴えでは、裁判官がDNA鑑定の結果やその他の客観的な証拠、妊娠・出産にいたる経緯や当事者の主張などを調べたうえで、父子関係を認めるか否か判決を言い渡します。

たとえ男性が親子関係を否定したとしても、裁判所は認知請求を認めることができますし、男性にDNA鑑定を拒否された場合であっても、理由もなく鑑定を拒否する態度そのものが認知請求を肯定する方向に働く場合もあります。


(4)DNA鑑定の費用

DNA鑑定の費用については、父子関係を立証する側である女性があらかじめ裁判所に納めなければなりません。
しかし、判決で「訴訟費用は被告の負担とする」と言い渡された場合、被告(男性)に請求できます。


(5)判決が確定した後の手続き

男性側が判決の内容に不服がある場合、判決書送達後14日以内であれば、控訴される可能性もあります。
しかし、控訴されなかった場合は、そのまま判決が確定します。

女性側は、判決確定後10日以内に判決書謄本判決確定証明書その他必要書類を添付して、市区町村役所に認知届を提出すれば、認知の手続きは完了します。

なお、認知の訴えは、父親が生存している限り、いつでも提起することができます。
仮に、父親が死亡した場合であっても、その死後3年以内であれば、認知の訴えを提起することは可能です(民法第787条)。

共同親権の原則[きょうどうしんけんのげんそく]

婚姻中の夫婦に未成年の子どもがいる場合、婚姻中は親権を夫婦共同で行使するのが原則です。
これを共同親権の原則と呼びます(民法第818条3項)。

両親は、社会的に未成熟な子どもを保護し、監護教育(しつけなど)や財産管理(旅行や携帯電話の契約の同意など)を通して、子どもの成長を図っていかなければなりません。
そして、子どもも親の親権に服さなければなりません。

しかし、その夫婦が離婚した場合、父母のどちらかを親権者として定めなければ離婚することができず、他方には親権が認められません。
これを単独親権の原則と呼びます(同第819条)。

そのため、離婚時には親権者の指定を巡って争いになることが多く、話し合いがまとまらなければ家庭裁判所での調停や審判の手続きに移行します。
それでも折り合いが付かず、調停が不成立(不調)に終わったような場合は、離婚訴訟を提起し、離婚条件の1つとして親権を争うことになります。

ほとんどのケースの場合、母親が親権を得ますが、必ず母親が親権を得られるというものでもありません。
親権を決定するには様々な判断要素があるからです。

また、仮に親権を取れなかった場合でも、最大限の面会交流権の獲得を目指した交渉も可能です。

親権に関するご相談は、離婚問題を得意とする弁護士に依頼することをお勧めします。

協力義務[きょうりょくぎむ]

婚姻関係にある夫婦は、同居義務・扶助義務・協力義務・貞操義務という義務を果たさなければなりません(民法第752条)。協力義務はそのうちの1つです。

協力義務に違反しているからといって、それがそのまま直ちに離婚原因になったり、離婚に際して配偶者へ慰謝料を請求できるわけではありません。

配偶者の継続的な非協力的態度が原因で夫婦関係が悪化し、婚姻生活が修復不可能なほど破綻してしまった場合には、婚姻を継続したがい重大な事由の1つの要素として離婚原因になり得ます。

また、協力義務は経済面だけではなく、子育てや家事など夫婦生活の全体として違反しているかどうかが考慮されます。

居所指定権[きょしょしていけん]

居所指定権とは、子どもがどこに住むか(=居所)について、親権者が指定できる権利のことであり、親権の内容の1つです。

親権者は、子どもを監督し、保護し、教育する権利・義務を負っていますので、子どもの居住地を指定することができます。
そのため、子どもは親権者の指定した場所に居住しなければなりません。

婚姻中の夫婦は共同で親権を行使しなければなりませんので(共同親権の原則)、子どもの居所は、父母の意見が一致した場所に置かなければなりません。
そのため、一方的に子供を連れて別居することは、本来は許されないのが原則です。

しかし、離婚した場合、父母のどちらか一方が親権を持ちますので(単独親権の原則)、他方の親が子どもを強制的に連れ去ったりすると、居所指定権の侵害となります。

また、親権者は、自分の居所とは違う場所を子どもの居所として指定することも可能です。
ただし、指定された場所が、子どもの教育や成長にとって好ましくないような場合は、居所指定権の濫用となります。

なお、自分の居所と同じ居所を指定した場合であっても、親権者が子どもに対して児童虐待などをしていた場合、居所指定権を含む親権がはく奪される可能性もあります。

「け」から始まる用語

継続性の原則[けいぞくせいのげんそく]

未成熟子のいる夫婦が離婚する場合、父母のどちらか一方を子どもの親権者に定めなければ離婚することができません。

父母のいずれを親権者にするかについて、話し合いによる離婚(協議離婚)で解決すればよいのですが、必ずしもそうはなりません。

そのため、離婚調停離婚訴訟において、親権者について争われた場合、家庭裁判所は、いずれの親が親権者に適しているか判断します。

その判断基準は、父母に関する事情など様々な事情を要素として考慮するのですが、もっとも重視するのは「子の福祉」です。
つまり、子どもの将来にとって何が大切であるのか、何が利益となるのかを基準に判断します。

継続性の原則とは、子の福祉の考える枠組みの1つです。
実際にそれまで子どもを育ててきた(監護してきた)者を優先し、子どもの生活環境という現状を維持し、現状を尊重すべきという考え方です。

たとえば、別居している夫婦間の子どもが、一方の親と一定期間同居し続けており、安定した監護環境にあるのであれば、その現状を維持した方が子どもの利益になります。

親の勝手な都合で子どもに新しい環境を強要すべきでなく、子どもの学校の交友関係なども含めて、できるだけ子どもの生活環境は維持した方が望ましいのです。

懈怠約款[けたいやっかん]

慰謝料養育費など、主に金銭の支払いが滞った場合に備えて和解書和解調書などにあらかじめ盛り込んでおく規定のことです。分割払いの場合には必ず盛り込んでおかなければなりません。

たとえば、浮気不倫に伴う不貞行為の慰謝料(不貞慰謝料)について300万円を毎月20万円ずつ分割して支払う合意をした場合、「分割金の支払いを2回怠り、その金額が40万円に達した場合、当然に期限の利益を失い、残金を直ちに一括で支払う。また、期限の利益を喪失した日の翌日から支払済にいたるまで年5%の遅延損害金を支払う」などのように、期限の利益の喪失や遅延損害金の支払いも含めた懈怠約款を盛り込みます。

つまり、懈怠約款とは、金銭を支払ってもらう側が、相手方の不履行(不払い)のリスクを避けるため、合意内容に付けておく条項になります。

そのため、慰謝料や養育費などの請求について依頼を受けた弁護士は、しっかりと懈怠約款を盛り込むようよう交渉していくことになります。

結婚[けっこん]

男女が結婚する意思(婚姻意思)をもって婚姻届を提出すると、法律上正式な夫婦となります。これを結婚と呼びますが、法律用語では「婚姻」と呼ばれています。

そして、婚姻関係になった夫婦は、様々な義務を負うことになります。詳しくは法律用語集の婚姻のページをご覧ください。

この点、夫婦関係を成立させようという婚姻意思があり、事実上の夫婦共同生活を送っているものの、婚姻届だけ提出していない男女関係のことを事実婚(内縁)と呼びます。皆さんの周りにもいらっしゃるのではないでしょうか。

なお、男女間に婚姻意思がなく、単に共同生活を送っているだけの関係は同棲と呼ばれます。詳しくは法律用語集の事実婚のページをご覧ください。

弁護士法人アドバンスに寄せられる相談として多いのは、事実婚の状態にある内縁の夫が他の女性と浮気をした場合の、不貞行為の慰謝料請求です。

この場合、内縁関係でも婚姻関係と同様に貞操義務を負いますので、貞操義務に反した内縁の夫や、夫が内縁関係にあることを知りながら肉体関係に及んだ交際相手の女性に対して、慰謝料を請求することができます。

血族[けつぞく]

本人と血縁関係にある人を法的に血族と呼びます。日常用語で言われるところの血縁者に近いイメージです。

血族には、血の繋がりのある遺伝上の血縁に基づく自然血族と、養子縁組によって血縁関係が生じる法定血族とに分かれます。
また、6親等以内の血族のことを親族と呼びます。

なお、遺伝上は血縁関係があったとしても、婚外子非嫡出子)の場合、父親から認知されなければ、父親と法的な血族関係にはなりませんので、注意が必要です。

原告[げんこく]

民事訴訟を起こした側、つまり、訴えた側の当事者を原告と呼びます。

離婚訴訟の場合は離婚を望む配偶者が原告となります。また、浮気不倫慰謝料不貞行為の慰謝料)を請求する訴訟の場合は、不貞行為をされてしまった配偶者が原告となります。

これに対して、民事訴訟を起こされた側、つまり、訴えられた側の当事者を被告と呼びます。不貞行為の慰謝料を請求する場合は、不貞行為を行った相手(浮気・不倫相手)、あるいは配偶者が被告となります。

「こ」から始まる用語

合意書[ごういしょ]

当事者間で合意した内容を書いた書面のことです。契約書が、何かの取引条件などを決めるために取り交わすものであるのに対して、合意書は広く当事者間で合意した内容を明らかにするために作成されます。そのため、契約書よりも広い使われ方をされ、示談書や和解書の意味を含むこともあります。

浮気不倫不貞行為による慰謝料請求の場合、交渉によって解決できた場合は、当事者間で合意書を取り交わします。慰謝料の支払条件や禁止事項などについて、きちんと書面化しておくのです。

また、離婚手続でも、夫婦間で話し合った財産分与、慰謝料、婚姻費用の分担、子どもの養育費の支払い、子どもとの面会交流権など離婚の条件について取り決めた内容について合意書を作成します。このように、協議離婚で使われる合意書は特に離婚協議書と呼ばれています。

ただし、文書の表題によって効力が何か決まるものではなく、記載された内容の方が大切ですので、覚書や念書などの表題を付けても、合意書の効力は問題ありません。

もちろん、慰謝料の支払条件や離婚条件について口頭で約束した場合であっても合意は成立します。

しかし、口約束では合意内容の証拠が何も残らないため、後からトラブルを招く危険性が非常に高くなります。そのため、合意書や離婚協議書を必ず作成しておくべきです。

また、合意書には合意して作成したことを確実に示すために当事者が署名押印を行わなければなりません。また、合意した内容も明確に示すことが重要です。曖昧な書き方ですと、相手に有利な読み方(解釈)をされてしまい、不利益を被ることがあります。

最後に、合意書を勝手に破棄されてしまわぬよう、同じものを2通作成して、双方がそれぞれ原本を保管することになります。

合意書の作成については、ぜひ、弁護士に相談してください。インターネットや書籍などでサンプルの書式が公開されているのを見かけます。

しかし、慰謝料を巡るトラブルや離婚条件というのは夫婦の数だけ存在しており、合意書や離婚協議書はオーダーメイドにならざるを得ないのが実情です。

最も有利な合意内容とするには、法的な知識と経験が必要であり、専門家である弁護士に相談すべきです。

なお、合意内容をより確実なものとするためには、費用はかかりますが、公正証書にしておくとさらに望ましいものとなります。相手が合意した内容を不履行にした場合であっても、裁判を起こすことなく強制執行を申し立てることが可能になるからです。

公証人[こうしょうにん]

公証役場(公証人役場)において、公証事務を行う公務員です。公証人は、原則として、判事(裁判官)や検事(検察官)などを長く務めた法律実務の経験豊富な人たちの中から公募し、法務大臣が任命します。公証人は全国で約500名おり、全国約300か所の公証役場で執務しています。

公証人は公正中立な立場が求められますので、依頼者の利益のために代理人として活動する弁護士とは異なっていますので、弁護士登録は抹消しなければならず、弁護士との兼職は禁止されています。ただ、守秘義務を負っている点で弁護士と変わりはありません。

不貞行為慰謝料請求により合意書を取り交わした場合や、協議離婚で離婚協議書を取り交わした場合などでは、合意内容が不履行になった場合に備えて、公正証書化しておくことが望ましいです。強制執行認諾条項の付いた公正証書にしておけば、裁判を経ることなく強制執行が可能となるからです。

このとき、公証役場に行き、公証人に公正証書の作成を依頼することになります。

公証役場(公証人役場)[こうしょうやくば(こうしょうにんやくば)]

公証人が、公正証書の作成、会社などの定款の認証、確定日付の付与などを行う官公庁です。各法務局が所管し、全国に約300か所あります。

公証役場は、公証人が執務することから公証人役場とも呼ばれています。離婚手続では、協議離婚の際に作成する離婚協議書を公正証書にする場合に利用します。

興信所[こうしんじょ]

企業や個人の所在、信用、行動などについて調査を行う民間企業のことです。調査会社とも呼ばれます。現在では、探偵事務所とほとんど違いはありません。

もともと興信所は、主に企業や個人の信用調査(取引先の与信審査や資産状況の調査など)を行ってきたのに対して、探偵は人の身辺について張り込みや尾行を利用して素行調査を行ってきたという歴史的な経緯があります。

しかし、現在では、探偵事務所が企業の信用調査を行うこともありますし、興信所が個人の浮気調査をすることもありますので、明確に業務範囲が区別されているわけではありません。

浮気不倫相手への慰謝料請求や離婚などのトラブルに際しては、不貞行為の事実を証明する決定的な証拠を掴むため、興信所を利用することがあります。

不倫相手との密会現場やラブホテルに出入りする写真の付いた調査報告書は、証拠としての証明力が非常に高いため、安くはない報酬を支払ってでも興信所に依頼する価値があるからです。

ただし、興信所は全国各地にたくさんありますし、残念ながら興信所を巡るトラブルも起こり得ますので、しっかりと説明を受け、納得のいく興信所を選んでください。

興信所は探偵業者として探偵業法(探偵業の業務の適正化に関する法律)の適用を受けますので、会社の所在地を管轄する警察署を通じて公安委員会への届け出が必要です。適切に届け出がされている場合、興信所内において、依頼者から見え易い位置に「探偵業届出証明書」が掲示されています。

また、探偵業者が契約する場合、依頼者に対して契約前に重要事項説明書を、契約後には契約書をそれぞれ交付しなければなりません。

これらには、個人情報保護に関する説明、業務範囲の説明、報酬金額やその支払い時期の説明、契約解除や違約金に関する説明など、非常に大切な内容が記載されています。

最近は業界内で価格競争が激化していますので、格安料金をアピールしたり、成功報酬型を採用する報酬体系も増えています。

「当初は安く見積もられていたが、後から高額な追加料金を請求された」とか「何をもって成功とするのかが曖昧であり、興信所との認識が違っていた」などのトラブルを防ぐためにも、慎重に検討してください。

なお、依頼する側からも、誓約書や同意書といった調査結果を犯罪など違法行為に使用しないことを約束する書面の提出も必要になりますので覚えておいてください。

公正証書[こうせいしょうしょ]

国(法務大臣)から任命された公証人という人が、公証役場にて作成する公文書のことを公正証書といいます。

たとえば、当事者間で作成した文書の場合、その作成や内容をめぐって後日にトラブルが起こる場合がありますが、公正証書にはその心配がありません。

たとえば、遺言(公正証書遺言)や任意後見契約、金銭の支払いなど大切な内容を取り決めるときに、安全で信頼性の高い証拠とするために利用されます。

公証人は、主に元裁判官や元検察官など法律の専門家が任命され、文書の記載内容をチェックするため、法的に無効となる内容は記載することができません(ただし、内容が具体的に妥当か否かまでは判断しません)。

また、公正証書は当事者双方に文書の内容を確認してから作成されますので、偽造されたり、後日「そんなことは覚えていない」と言われるような紛争も防止できます。

浮気不倫慰謝料請求や離婚の場面においては、慰謝料の支払いについて書かれた合意書和解書)を公正証書にしたり、協議離婚の際に作成される離婚協議書を公正証書で作成することが多いです。

なぜなら、公正証書には、記載内容が約束通りに履行されなかった場合、裁判の手続を経なくても、債務者の財産を差し押さえること(強制執行)が可能になるという特別な機能を持っているからです。

債権者(慰謝料や養育費などを受け取る側)にとって、裁判手続を省略できることは費用や手間を省略できる大きなメリットになります。
逆に、債務者(慰謝料や養育費などを支払う側)にとっては、大きなプレッシャーとなります。

ただし、公正証書によって強制執行を行うためには、

  1. 公正証書に強制執行認諾条項があること
  2. 作成された公正証書が相手方に送達され、送達証明書があること
  3. 作成された公正証書に執行文が付与されていること

が必要になります。

公証役場では、事前予約が必要であり、公証役場により必要書類が異なる場合がありますので、まずは最寄りの公証役場にお問合せください。

なお、裁判所とは異なり、公証役場には管轄の指定はありませんので、日本全国どこの公証役場で公正証書を作成しても問題ありません。

甲類事件[こうるいじけん]

2013年に家事事件手続法が施行されるまで、家事審判法下で呼ばれていた事件分類のことです。現在では、別表第1事件と呼ばれています。

これに対して、乙類事件と呼ばれていた事件分類は、現在、別表第2事件と呼ばれています。

婚姻[こんいん]

私たちが一般的に「結婚」と呼ぶものを、法律用語では「婚姻」と呼びます。男女が結婚する意思(婚姻意思)をもって婚姻届を提出すると、法律上正式な夫婦となります。

そして、婚姻関係となった夫婦は、法律により様々な義務を負うことになります。

ここでは、夫婦に課される主な義務について解説していきます。


(1)貞操義務を負う

夫婦は互いに貞操を守る、つまり、配偶者以外とは性的関係を持ってはならないという義務を負います。これを貞操義務と呼びます。浮気不倫による貞操義務に違反する行為が不貞行為と呼ばれ、法定の離婚原因となります(民法第770条1項1号)。


(2)夫婦で同じ氏を使う

夫婦は婚姻に際して、夫または妻のいずれかの氏(名字や姓の法律上の呼び方)を選んで、婚姻中はその氏を夫婦共通の氏(婚氏)として使わなければなりません。これを夫婦同氏の原則と呼びます(同第750条)。

離婚した場合は、婚姻前の氏に当然に戻る(復氏)ことになりますが、離婚後も引き続き婚姻中の氏を使い続けたい場合は、引き続き使用することもできます(婚氏続称:同第767条)。


(3)同居する義務を負う

婚姻届を出して正式に夫婦になった者は、同じ屋根の下で暮らす義務があります。これを同居義務と呼びます(同第752条)。そして、正当な理由なく別居を始めた場合は、この義務に違反しますので、離婚手続において不利な事情として取り扱われる場合があります。

もっとも、同居義務違反がただちに離婚理由に繋がるわけではなく、浮気・不倫など別居生活となった直接の原因の方が重要です。


(4)互いに協力する義務を負う

子育てや家事の分担、病気の際の監護など、夫婦は互いに協力して婚姻生活を支え合わなければなりません。これを協力義務と呼びます(同第752条)。もしも、非協力的な態度を続けて夫婦関係が悪化し、それが原因で婚姻生活が修復不可能なほど破綻してしまった場合は、婚姻を継続したがい重大な事由の1つの要素として離婚原因となり得ます。


(5)互いに扶助する義務を負う

扶助する義務とは、夫婦間で互いに扶養する義務のことです(同第752条)。これを扶助義務と呼びます。夫婦とその間の子ども(未成熟子)に対しては、生活保持義務の程度で扶養しなければなりません。なお、別居中の婚姻費用や離婚後の養育費に関しても、この生活保持義務の程度が要求されます。


(6)婚姻費用の分担義務を負う

婚姻生活を営むためには、食費、住居費、光熱費、医療費、学費、娯楽費、交際費など様々な費用(婚姻費用)が必要です。そして、婚姻費用は夫婦間で分担しなければなりません(同第760条)。分担といっても、生活費を僅かしか家計に入れないというのは許されず、生活保持義務の程度が求められます。


(7)日常家事の連帯債務

たとえば、生活必需品の購入代金、食費、家賃、光熱費、医療費、学費・教育費など、毎日の生活の衣食住に必要なお金(日常家事債務)の支払いについては、夫婦が連帯して責任を負わなければなりません。

何が日常家事債務に該当するのかは、夫婦の生活水準や事情によって個別具体的に異なりますので、離婚の際に問題となる場合があります。また、家賃の支払い、住宅ローン、オートローン、教育ローンなどの日常家事債務については、離婚時の清算方法についてトラブルになりがちです。

婚姻準正[こんいんじゅんせい]

婚姻届を提出する前に父親が認知した子どもが、父母の婚姻によって嫡出子になることをいいます(民法第789条1項)。

子どもが認知された時点では父母が婚姻していませんので、その子は非嫡出子です。しかし、その後に父母が婚姻することによって嫡出子となります。

たとえば、令和2年5月1日に女性が子どもを出産したとします。同年6月1日に父親がその子どもを認知して、同年7月1日に2人が無事に婚姻届を提出しました。
この場合、その子は同年7月1日から夫婦の嫡出子となります。

このように、婚姻準正は出産→認知→婚姻という流れを辿ります。逆に、出産→婚姻→認知という流れになりますと、認知準正と呼ばれます。

詳しくは法律用語集「準正」のページもご覧ください。

婚外子[こんがいし]

婚姻届を提出していない男女の間に生まれた子どもは、非嫡出子と呼ばれることになります。民法上は「嫡出でない子」と表現されます(第779条、第790条2項)が、法律実務上、非嫡出子と呼ばれているのです。

嫡出という呼び方が庶出に対する反対概念であり、嫡子・庶子という歴史的な差別に由来しています。

また、非嫡出という言葉にマイナスイメージがあること、民法改正により非嫡出子の法定相続分が嫡出子と同じになったことなどの諸事情から、現在では「婚外子」という呼び方が徐々に浸透しつつあります。

今の社会では、シングルマザーを選ぶ方、夫婦別姓などのために事実婚を選ぶ方など結婚に対する価値観やライフスタイルが多様化しているため、婚外子の割合も少しずつ増加しています。

婚子[こんし]

事実婚ではなく、婚姻届を出して正式に結婚して夫婦になる場合、婚姻中は夫婦のどちらかの氏を夫婦双方で名乗ることになります。いわゆる、夫婦同氏の原則です(民法第750条)。

ほとんどの夫婦の場合、婚姻時に夫の氏を名乗ることが一般的ですので、女性は婚姻時に氏を変更することになります。

この婚姻によって改めた氏のことを婚氏と呼びます。氏という言葉は聞きなれない言葉かもしれませんが、姓や名字のことを法律上「氏」と呼んでいます。

そして、離婚したときは、原則として婚姻前の旧姓に戻ります。これを「復氏」と呼びます。

しかし、婚氏で仕事をしている場合、離婚により氏が変わると社会生活に影響が出る場合があります。特に婚姻期間が長くなるほど、支障が生じる機会も多くなります。

このような場合に、離婚後も婚姻期間中の氏を継続して使用することができる制度があります。それが婚氏続称です。

婚氏続称[こんしぞくしょう]

離婚をするときは、結婚の際に氏を変えた方が、結婚前の氏に戻ります。これを復氏と呼びます(民法第767条1項)。
氏という言葉は日常生活では馴染みがない言葉かもしれませんが、姓や名字のことを法律上「氏」と呼んでいます。

しかし、婚姻中の氏(婚氏)で仕事を継続しているような場合、離婚によって氏が変わると社会生活に支障が生じる場合があります。

このような場合、離婚後も婚姻中の氏をそのまま名乗り続けることができる制度があります。これを婚氏続称と呼びます。

具体的には、離婚前の本籍地または住所地を管轄する市区町村役所に婚氏続称届(「結婚の際に称していた氏を称する届」)を提出することが必要です。

ただし、離婚日の翌日から3ヶ月以内に提出しなければなりません(同条2項、戸籍法第77条の2)。
もしも、3ヶ月の期間を経過してしまうと、婚氏を使い続けるためには家庭裁判所の許可が必要になります。

婚氏続称届は離婚届の提出と合わせて行うことが一般的ですので、(主に女性は)離婚の際に婚氏を使い続けるかどうか、あらかじめ検討しておくことが望ましいでしょう。

婚約[こんやく]

将来結婚することを真摯に約束することを婚約と呼びます。
婚約は当事者の合意があれば成立しますので、書面や結納の取り交わし、婚約指輪の購入など一定の方式や慣習的な儀式は必ずしも必要ありません。

また、あくまでも将来の結婚の約束ですので、その時点で夫婦としての実態や同棲などの共同生活を営んでいる必要もありません。

しかし、後から婚約の成立について争いになった場合、単なる口約束だけでは、婚約の成立を証明できる外形的な事実がありませんので、当事者間の合意を推定することが困難になります。

なお、婚約成立後、お互いに話し合って婚約の取り消し(婚約解消)をすることはできますし、男女どちらの側からでも、婚約を一方的に破棄すること(婚約破棄)も原則として自由です。

ただし、正当な理由なく婚約を破棄した側は、慰謝料や結婚の準備に必要な費用の支払いなどの損害賠償責任を負うことがあります。

婚約解消[こんやくかいしょう]

婚約後に、お互いが同意して婚約を取り消すことです。この点、片方の当事者が一方的に取り消す婚約破棄とは異なります。

婚約破棄[こんやくはき]

婚約後に、片方の当事者が婚約を一方的に取り消す(破棄する)ことを指します。

この点、婚約解消のように、お互いが納得したうえで婚約を取り消す場合は何も問題はありませんし、男女どちらの側からも婚約を破棄することは原則的に自由です。

ただし、正当な理由なく婚約を破棄した当事者は、慰謝料や結婚の準備に要した費用の支払いなど損害賠償責任を負うことがあります。

婚約破棄における正当な理由は、民法など法律に定められているわけではありませんが、婚約者が性的不能を隠していた場合、実は子どもがいた場合、他に恋人がいた場合、収入や経歴などを偽っていた場合、婚約後に不誠実な行為や乱暴な行為が発覚した場合などが一般的です。