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慰謝料・離婚の法律用語集 -た行-

た行の法律用語一覧

「た」から始まる用語

代理人許可申請[だいりにんきょかしんせい]

家庭裁判所離婚調停離婚審判が行われる場合、本人が裁判所に出頭しなければならないのが原則です(本人出頭主義)。

弁護士を代理人として依頼した場合は、弁護士が裁判所に一緒に赴いて、依頼者の言いたいことを整理して説得的に主張し、相手からの主張も踏まえて的確に反論していくなど、依頼者のそばで手厚くフォローしていきます。

この点、病気や近親者の弔事など止むを得ない事由により、どうしても本人が裁判所に出頭できない場合や、話し合いの内容が慰謝料養育費、財産分与など金銭の支払い関連に限られている場合は、弁護士が本人の代わりに代理人として出頭することができます。

しかし、弁護士以外の人(たとえば、親など)が代理人として出頭しようとする場合は、裁判所の許可を得るための申請が必要です。

これが代理人許可申請です。具体的には、「代理人許可申請書」という書類に必要事項を記入して、裁判所へ提出します。

探偵事務所[たんていじむしょ]

個人の所在・信用・行動などを中心に調査を行う民間企業のことです。調査会社とも呼ばれます。現在では、興信所とほとんど違いはありません。

もともと、探偵が人の身辺について素行調査を行ってきたのに対して、興信所は主に企業の信用調査を行ってきたという歴史的経緯があります。

しかし、現在では、探偵事務所が企業の信用調査を行いますし、興信所が個人の浮気調査を行いますので、明確な業務範囲の区別はありません。

離婚に際しては、浮気不倫不貞行為の事実を証明する決定的な証拠を掴むため、探偵事務所を利用することがあります。不倫相手との密会現場やラブホテルに出入りする写真の付いた調査報告書は、証拠としての証明力が非常に高いため、報酬を支払っても依頼する価値があるからです。

ただし、探偵事務所は全国各地にありますし、残念ながら探偵事務所を巡るトラブルも起こり得ますので、しっかりと説明を受け、納得のいく探偵事務所を選んでください。

探偵事務所は探偵業者として探偵業法(探偵業の業務の適正化に関する法律)の適用を受けますので、公安委員会への届け出が必要です。適切に届け出がされている場合、探偵事務所内に「探偵業届出証明書」が掲示されています。

また、探偵事務所が契約する場合、依頼者に対して契約前に重要事項説明書を、契約後には契約書をそれぞれ交付しなければなりません。

これらには、個人情報保護に関する説明、業務範囲の説明、報酬金額やその支払い時期の説明、契約解除や違約金に関する説明など、非常に大切な内容が記載されています。

最近は、破格の格安料金をアピールする探偵事務所も増えてきています。しかし、「当初は安く見積もられていたが、後から高額な追加料金を請求された」とか「何をもって成功とするのかが曖昧であり、探偵事務所との認識が違っていた」などのトラブルを防ぐためにも、信頼と実績のある探偵事務所を選びましょう。

単独親権の原則[たんどくしんけんのげんそく]

婚姻中の夫婦に未成年の子どもがいる場合、親権は夫婦共同で行使するのが原則です。これを共同親権の原則と呼びます(民法第818条3項)。

しかし、その夫婦が離婚した場合、父母のどちらかを親権者として定めなければならず、他方には親権が認められません。これを単独親権の原則と呼びます(同第819条)。
このため、離婚条件の中でも親権を巡っての争いは深刻化することが多いです。

たとえば、子どもを連れ去ったまま別居し、そのまま非監護親(別居された方の配偶者)に引き合わせず、親権の適性についてお互いに非難し合うという子どもの奪い合いが起きています。

これは、親権を決める判断要素の1つとして、子どもの生活環境という現状を維持し尊重する方が望ましいという考え方が背景としてあるからです(いわゆる、継続性の原則)。

婚姻中は共同親権であるにもかかわらず、離婚後は単独親権とされてしまうのはなぜでしょうか。

それは、別居する夫婦に共同親権を認めると、夫婦の縁を切ることができず、夫婦間でのトラブルが継続してしまうという離婚の枠組みの中で、子どもの親権が考えられてきたからです。

しかし、子どもの福祉や健全な成長を考えた場合、諸外国のように離婚後も共同親権を認める方が望ましい点もあり、現在、様々な角度から再検討されています。

離婚時に親権を得られるのは、ほとんどの場合は母親です。
しかし、親権を決定するには様々な判断要素があります。仮に親権を取れなかった場合でも、最大限の面会交流権の獲得を目指した交渉も可能です。

親権に関するご相談は、離婚問題を得意とする弁護士に依頼することをお勧めします。

「ち」から始まる用語

地裁[ちさい]

地方裁判所の略です。他の業種と同じように、法律用語も略称で呼ばれることがあります。もし、弁護士や裁判所の方から「ちさい」という言葉を聞いた場合は、地方裁判所のことを指していると思いますので、覚えておいてください。

なお、離婚調停離婚審判離婚訴訟家庭裁判所で行われます。
これに対して、浮気不倫相手の不貞行為に対する慰謝料請求訴訟は、地方裁判所(または簡易裁判所)で行われますので、注意してください。

調停委員[ちょうていいいん]

調停手続において、裁判官(審判官)と一緒に当事者の意見を聞いたり、当事者を説得するなどして、調停を進行させ、調停の合意を目指す役割を果たす人のことを調停委員と呼びます。

調停委員は、社会経験が豊富であったり、専門的な知見を持つ40歳以上70歳未満の人が選ばれます。

弁護士であることも多いですが、医者や大学教授などが選ばれることもあります。また、これら専門職の他にも、地域の社会活動に長らく貢献してきた人が選ばれることもあります。調停委員だからといって、必ずしも法律の知識が豊富という訳ではありません。

ただし、より専門的な調停であれば、調停委員の選定にも制限がある場合もあります。たとえば、建築関係の調停であれば、一級建築士など建築関係の資格を有する人が選ばれますし、離婚調停であれば、原則として男性1名、女性1名の2名の調停委員が必ず選ばれることになっています。

調停手続において、調停委員はあくまでも中立の立場です。当事者の話を調停委員が交代で聞き、その言い分を相手方に伝えることになります。

調停委員も人間ですから様々な人がいますし、相性もあります。そのため、調停委員に対しては、冷静にかつ丁寧に接し、調停委員がうまくこちらの味方になるように振舞いましょう。くれぐれも、調停委員に対して感情的になったり、横暴な態度を取ってはなりません。

もしも、調停委員との信頼関係を構築するのが難しかったり、不満がある場合には、弁護士を代理人として調停の対応を依頼することも可能です。

陳述書[ちんじゅつしょ]

裁判や調停、審判などで、裁判所に出される資料の1つに陳述書という書類があります。事件に関する当事者や関係者が、自分の言い分や意見を書面化したものです。

陳述書は、写真や録音テープなどと同様に、裁判で出される訴状や準備書面に書かれていること補充・補強する証拠としての意味合いを持ちます。

たとえば、浮気不倫不貞行為に対する慰謝料請求訴訟や、離婚調停離婚訴訟においては、婚姻生活の状況、不貞行為の事実関係、離婚に至るまでの経緯、今後どうしたいのか、などが時系列にまとめられていることが多いです。

陳述書は特に決まった書式はありませんので、箇条書きでも構いません。しかし、文章の体裁を取りながら「誰が、いつ、どこで、何を、なぜ、どのようにしたのか(5W1H)」を明確にしながら具体的に記載することが一般的です。

作成方法は、手書き・パソコン入力のいずれでも構いませんが、作成年月日を必ず記載し、作成した本人が署名・押印します。

これは、裁判所が、陳述書を本人の真意にもとづいて作成されたものであると取り扱うためです。

そのため、陳述書の内容は、裁判所に提出した書面や、裁判・調停で自分が話した内容と矛盾がないようにしなければなりません。

陳述書を読む調停委員や裁判官に、自分の意思や希望が正確に伝わるように工夫して作成しましょう。くれぐれも、誤字脱字などがないよう気を付けましょう。

この点、弁護士であれば、具体的な事実にもとづいて法的な主張を書面で行うプロフェッショナルですから、手続を有利に進めるための陳述書の作成方法をアドバイスできますし、その内容をチェックすることもできます。

「つ」から始まる用語

追認[ついにん]

法律上、無効な行為や取り消すことができる行為について、事後的にその行為を有効なものとして確定させることを、追認と呼びます。

たとえば、勝手に署名押印されて離婚届を提出された場合、その離婚届は無効となります。しかし、追認すれば提出された時点に遡って、有効な届け出となります。

この場合、家庭裁判所に対して離婚が無効であるとの調停(協議離婚無効確認調停)を申し立てることができますが、無効の合意ができなければ、最終的には訴訟で決着をつけることになります。

しかし、無断で離婚届を提出された側の調停や訴訟の負担は大きく、仮に離婚が無効になったとしても、その後に夫婦生活を続けることは現実問題として難しいものがあります。相手の離婚意思が極めて固いからです。

そのため、離婚を追認して離婚の条件面の交渉に移ることも選択肢として考えられます。離婚後であっても、慰謝料養育費、財産分与、年金分割などの請求が可能だからです。

なお、次の点には注意してください。


(1)親権者の指定

未成年者の子どもがいる場合、勝手に提出された離婚届で指定されている親権者が自分の意思とは違う場合があります。そのまま離婚を追認すると、離婚届に記載された親権者が有効になってしまいますので、注意してください。


(2)婚姻費用

離婚を追認した場合、離婚届が提出された時点に遡って離婚が成立しています。そのため、婚姻費用の分担請求ができなくなりますので、注意してください。


(3)慰謝料、財産分与、年金分割の請求

慰謝料請求は離婚の成立から3年で時効にかかりますし、財産分与と年金分割の請求は2年の除斥期間にかかります。そのため、長く争った末に離婚を追認し、離婚成立が離婚届の提出時点まで遡ると、請求ができなくなる可能性がありますので、注意してください。

「て」から始まる用語

貞操義務[ていそうぎむ]

婚姻関係にある夫婦は、互いに配偶者以外の人と性的な交渉をしてはいけない、つまり、お互いに貞操を守るという義務を負っています。

この貞操義務に違反するような行為、すなわち、不貞行為は、法定離婚原因となりますし、不貞行為を行った配偶者とその相手(浮気不倫の相手)に対して、慰謝料を請求することができます。

慰謝料の金額は、不貞行為の程度や態様、婚姻期間や婚姻関係の状況、子どもの有無など様々な事情に基づいて算出されますが、貞操義務への違反が離婚原因となった場合には、慰謝料の金額は多額になる傾向があります。

「と」から始まる用語

同居義務[どうきょぎむ]

週末婚や別居婚など結婚生活に関するライフスタイルは多様化しつつありますが、婚姻届を出して正式に夫婦になった者は、同じ屋根の下で暮らす義務があることが法律によって定められています(民法第752条)。

そのため、配偶者が正当な理由もなく同居しなかった場合(つまり、別居した場合)は、同居するよう求めることができます。ただし、本人の意思に反して同居を強制できるものではありません。

仮に家庭裁判所に訴えた場合、同居を拒んでいる方が翻意して同居に応じ、円満な夫婦関係を再構築できる可能性があれば、裁判所が同居を命じることもあり得ます。

しかし、強制執行することはできません。相互に助け合いながら仲良く暮らすという同居義務の趣旨に反するからです。

そして、正当な理由なく別居を開始した場合は、夫婦の同居義務に違反しますので、離婚手続において不利な事情として取り扱われる可能性があります。

もっとも、同居義務違反が直ちに離婚理由に繋がるわけではなく、浮気不倫による不貞行為など別居に至った直接の原因の方が重要です。

なお、同居義務に違反せず、別居が正当化される理由としては、転勤による単身赴任や親の介護など物理的に同居できない場合もあれば、DV(ドメスティック・バイオレンス)などの暴力行為や不貞行為がある場合、夫婦関係の破綻による別居などがあります。夫婦間の個別具体的な事情によっても異なります。