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慰謝料・離婚の法律用語集

婚姻[こんいん] とは?

私たちが一般的に「結婚」と呼ぶものを、法律用語では「婚姻」と呼びます。男女が結婚する意思(婚姻意思)をもって婚姻届を提出すると、法律上正式な夫婦となります。

そして、婚姻関係となった夫婦は、法律により様々な義務を負うことになります。

ここでは、夫婦に課される主な義務について解説していきます。


(1)貞操義務を負う

夫婦は互いに貞操を守る、つまり、配偶者以外とは性的関係を持ってはならないという義務を負います。これを貞操義務と呼びます。浮気不倫による貞操義務に違反する行為が不貞行為と呼ばれ、法定の離婚原因となります(民法第770条1項1号)。


(2)夫婦で同じ氏を使う

夫婦は婚姻に際して、夫または妻のいずれかの(名字や姓の法律上の呼び方)を選んで、婚姻中はその氏を夫婦共通の氏(婚氏)として使わなければなりません。これを夫婦同氏の原則と呼びます(同第750条)。

離婚した場合は、婚姻前の氏に当然に戻る(復氏)ことになりますが、離婚後も引き続き婚姻中の氏を使い続けたい場合は、引き続き使用することもできます(婚氏続称:同第767条)。


(3)同居する義務を負う

婚姻届を出して正式に夫婦になった者は、同じ屋根の下で暮らす義務があります。これを同居義務と呼びます(同第752条)。そして、正当な理由なく別居を始めた場合は、この義務に違反しますので、離婚手続において不利な事情として取り扱われる場合があります。

もっとも、同居義務違反がただちに離婚理由に繋がるわけではなく、浮気・不倫など別居生活となった直接の原因の方が重要です。


(4)互いに協力する義務を負う

子育てや家事の分担、病気の際の監護など、夫婦は互いに協力して婚姻生活を支え合わなければなりません。これを協力義務と呼びます(同第752条)。もしも、非協力的な態度を続けて夫婦関係が悪化し、それが原因で婚姻生活が修復不可能なほど破綻してしまった場合は、婚姻を継続したがい重大な事由の1つの要素として離婚原因となり得ます。


(5)互いに扶助する義務を負う

扶助する義務とは、夫婦間で互いに扶養する義務のことです(同第752条)。これを扶助義務と呼びます。夫婦とその間の子ども(未成熟子)に対しては、生活保持義務の程度で扶養しなければなりません。なお、別居中の婚姻費用や離婚後の養育費に関しても、この生活保持義務の程度が要求されます。


(6)婚姻費用の分担義務を負う

婚姻生活を営むためには、食費、住居費、光熱費、医療費、学費、娯楽費、交際費など様々な費用(婚姻費用)が必要です。そして、婚姻費用は夫婦間で分担しなければなりません(同第760条)。分担といっても、生活費を僅かしか家計に入れないというのは許されず、生活保持義務の程度が求められます。


(7)日常家事の連帯債務

たとえば、生活必需品の購入代金、食費、家賃、光熱費、医療費、学費・教育費など、毎日の生活の衣食住に必要なお金(日常家事債務)の支払いについては、夫婦が連帯して責任を負わなければなりません。

何が日常家事債務に該当するのかは、夫婦の生活水準や事情によって個別具体的に異なりますので、離婚の際に問題となる場合があります。また、家賃の支払い、住宅ローン、オートローン、教育ローンなどの日常家事債務については、離婚時の清算方法についてトラブルになりがちです。