コンテンツまでスキップ

慰謝料・離婚の法律用語集 -ら行-

ら行の法律用語一覧

「り」から始まる用語

履行勧告[りこうかんこく]

家庭裁判所による離婚調停離婚審判離婚訴訟によって定められた約束内容(たとえば、慰謝料、財産分与、養育費の支払い、面会交流の実施など)を相手が守らない場合、家庭裁判所から勧告してもらえる制度のことです。

家庭裁判所に申し立てる必要がありますが、手続に費用はかからず、比較的手軽にできる対方法です。

しかし、法的な拘束力(強制力)がありませんので、相手に対してプレッシャーをかけるレベルにとどまります。

履行遅滞[りこうちたい]

債務不履行の類型の1つであり、履行が可能であるにもかかわらず、債務者の責に帰すべき事由により、決められた期限までに履行しないことを指します。

たとえば、浮気不倫による不貞行為慰謝料を「6月末日までに支払う」という内容で合意書を取り交わしたにもかかわらず、7月1日になってもその約束が果たされない場合、履行遅滞となります。その他にも、別居中の婚姻費用の未払いや、離婚の後の養育費の支払いが遅れたりする場面で登場します。

履行遅滞になると、分割払いの場合は、期限の利益を喪失してその時点の残高の一括払いを請求される可能性があります。

また、履行内容が調停調書や公正証書などの債務名義になっていれば、強制執行を受けてしまう可能性がありますので、早めに弁護士に相談することをお勧めします。

履行不能[りこうふのう]

債務不履行の類型の1つであり、債務者の責に帰すべき事由により、履行が不可能になってしまったことを指します。

たとえば、建物の売買をした際に、売り主の不注意による失火によって建物を焼失してしまった場合、売り主は買い主にその建物を引き渡すという債務を履行することが不可能となってしまいますので、債務不履行となります。

ただし、金銭の支払い債務については、履行不能にはならないと考えられています。

世の中から貨幣が無くなるわけではありませんので「お金が支払えない」という金銭債務の債務不履行は履行不能ではなく、単に支払いが遅れているという履行遅滞として扱われます。

つまり、浮気不倫による不貞慰謝料や離婚による養育費の支払いが遅れていたとしても、履行不能にはならないのです。

それでは、履行不能にならないとしても、離婚した元夫が養育費を滞納して自己破産してしまった場合はどうでしょうか。

この場合、養育費の請求権は、破産によって免責されない債権ですので、養育費の支払義務が消えることはありません。

また、離婚した元夫や浮気・不倫相手が慰謝料を支払うことなく自己破産してしまった場合はどうでしょうか。

この場合、慰謝料請求権は基本的に免責されてしまいますので、慰謝料を請求することができなくなります。

もっとも、結婚生活を壊してやろうと積極的な害意をもって不倫を働きかけたり、身体への暴力によるDV被害によって慰謝料が発生している場合は、免責されないことがあります。

請求したものの、慰謝料や養育費の支払いが滞っていてお困りの方も多いかと思います。そのような場合は弁護士法人アドバンスまでぜひ一度ご相談ください。

履行命令[りこうめいれい]

家庭裁判所の調停や審判の調書、または判決によって決められた金銭債務(慰謝料や財産分与、養育費など)の支払いを、相手が履行しない場合に取ることのできる対応方法の1つです。

家庭裁判所に対して履行命令の申立てを行うと、裁判所が相当の期間を定めて、相手にその期間内に履行を命じます。もしも相手が正当な理由なく履行命令に従わないときは、10万円以下の過料の支払いが課される場合があります。

この点で、強制力のない履行勧告とは異なります。ただし、この過料は申立人に対して支払われるものではありませんので、経済的な困窮から養育費や慰謝料などを滞納している方をさらに困窮させることになるため、あまり良い方法ではありません。

また、10万円以下という金額から、相手によってはあえて無視される可能性もあります。その場合は、履行勧告や履行命令ではなく、強制執行も検討すべきです。

離婚審判[りこんしんぱん]

離婚調停が不成立の場合、それでも当事者のどちらかが離婚を求める場合は、家庭裁判所に対して訴訟を提起して、裁判所の判断によって強制的に離婚の成立を求めていくことになります(離婚訴訟)。

ところが、例外的に、訴訟によらずに家庭裁判所の判断で離婚が認められることがあります。この離婚の形式のことを離婚審判とか審判離婚といいます。

審判離婚は、夫婦間で離婚自体は合意しているが、慰謝料養育費など金銭的な条件面でわずかに意見が食い違っているに過ぎない場合に使われる制度です。

また、相手方が外国籍や行方不明、精神疾患があるなど調停不成立が明らかな場合は、調停を経ずに審判を申し立てることもあります。

しかし、審判離婚は、審判の結論に対して2週間以内に異議の申し立てがなされると成立しないため、実際のところ、あまり利用されていません。

離婚訴訟[りこんそしょう]

夫婦間での話し合い(協議離婚)では結論が出ず、家庭裁判所でも調停(離婚調停)が成立しなかった場合、家庭裁判所に訴訟を起こして、裁判所の判断により強制的に離婚の成立を求めることができます。この手続きを、離婚訴訟(裁判離婚ともいいます)と呼びます。

現行法上、最初から離婚訴訟を提起することはできず、はじめに離婚調停を申し立て、調停が不成立に終わった場合にのみ、離婚訴訟を提起することができます。これを法律用語で調停前置主義と呼びます(家事事件手続法第257条1項)。

協議離婚や調停離婚と異なり、離婚訴訟では、当事者が合意していなくとも、裁判官の判断で強制的に離婚を成立させることが大きな特徴です。

また、協議離婚や調停離婚では、当事者が合意さえすればよく、離婚理由に何も制限はありませんが、裁判離婚では、離婚が認められる離婚理由は下記の5つに限定されています(法定離婚原因)。


民法第770条1項

夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。

二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

離婚調停[りこんちょうてい]

離婚する方法には、協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚と4つの種類があります。そのうちの1つであり、家庭裁判所を利用する手続きになります。

夫婦で離婚の合意ができなかったり、離婚に合意はしているものの、親権や財産分与、慰謝料養育費などの離婚条件で合意できていない場合、家庭裁判所へ調停を申し立てることで、その解決を図ります。

そして、調停で成立した離婚のことを離婚調停(「調停離婚」とも)と呼びます。

離婚調停では、調停委員が双方の事情を聴きながら、当事者が合意できるように調停を進行します。いわば、家庭裁判所で行われる話し合いのようなものです。

離婚理由が法律で定められている裁判離婚とは異なり、当事者双方が合意すれば離婚が成立します。

現行法上、協議離婚が成立しない場合、いきなり離婚訴訟に訴えることはできません。まずは離婚調停を申し立てなければなりません。そして、調停で合意に至らず不成立に終わった場合にはじめて、離婚訴訟を提起して、離婚の可否について争っていくことになります。これを法律用語で「調停前置主義」と呼びます。

離婚届[りこんとどけ]

離婚が成立すると、市区町村役所などに置いてある離婚届に所定の事項を記入のうえ、当事者の本籍地もしくは住民票などの所在地の役所に提出しなければなりません。


離婚届には、

  • 当事者双方の氏名、住所、本籍
  • 当事者双方の父母の氏名
  • 離婚の種別(協議離婚、調停、審判、和解、請求の認諾、判決)
  • 婚姻で氏(苗字)を変えた場合は、婚姻前の戸籍にもどる場合はその旨と、もどる戸籍の本籍地と筆頭者
  • 未成年の子がいる場合は、未成年の子と親権者をどちらにするか

など、記載事項が細かく決められています。


また、協議離婚の場合、当事者双方の署名と押印や2人の証人の署名と押印が必要になります。その他にも、離婚成立日については、協議離婚や裁判所の諸手続を経た離婚(調停離婚、審判離婚、訴訟離婚)の場合とでは異なりますので、注意が必要です。

なお、離婚の意思がないのに、以前に作成した離婚届を勝手に出されてしまうケースも夫婦間では起こり得ます。このようなトラブルを防止するためには、役所に対して、離婚届の不受理申出制度の手続きを行わなければなりません。

離婚届の証人[りこんとどけのしょうにん]

協議離婚の場合、離婚届に2名の証人の署名押印が必要になります。これがないと離婚届を市区町村役場に受理してもらうことができません。

これは、婚姻届に証人を求めるのと同じ考え方に由来しています。
すなわち、離婚届の作成に第三者を関与させることによって虚偽の離婚届が作成されたりすることをなるべく防止し、本人たちに離婚について熟慮させたり、覚悟を持たせるための政策的な趣旨とされています。

もっとも、家庭裁判所が介在する調停離婚、審判離婚、裁判離婚については、上記の趣旨が当てはまりませんので、証人は不要です。

当事者間の話し合いのみによって離婚が成立する協議離婚の場合だけ、証人が必要となります。

ここで誤解されがちなのですが、証人欄に署名押印したとしても、証人は法律上の責任などの不利益は負いません。お金やアパートを借りる際の連帯保証人や保証人とはまったく異なるのです。

証人は、本人たち以外の成人であれば誰でもよいため、特に資格に制限はありません。妻と夫のそれぞれの側から1名ずつ出さなければならないなどの決まりも特にはありません。

一般的には、両親、兄弟姉妹、親しい友人、そして、離婚手続をお願いしている弁護士にそのまま依頼することが多いようです。

なお、離婚届の証人欄の署名を、本人に無断で勝手に記載して提出してしまうと、私文書偽造や偽造私文書行使という犯罪になるおそれがありますので、注意してください。