慰謝料・離婚の法律用語集
無為徒食[むいとしょく] とは?
日常用語では「働くこともなく、毎日をただ遊び暮らすこと」を言います。離婚においては、法定離婚原因の1つである「婚姻を継続しがたい重大な事由」として考慮される可能性があります。
意味
目次
- 0.無為徒食とは?
- 1.無為徒食を理由に離婚は認められるのか?
- 2.働いていない=無為徒食ではない
- 2-1.就労不可能な事情の有無
- 2-2.家事や育児への貢献度
- 3.裁判で離婚が認められるための具体的な判断基準
- 4.離婚手続きを進めるためのアドバイス
- 5.一人で悩まず弁護士にご相談ください
0.無為徒食とは?
日常会話の中で無為徒食という言葉を耳にすることがあります。「無為」とは何もしないこと、「徒食」とは働かずに食べることを表し、健康で働く能力があるにもかかわらず、労働の意思を持たず、財産や配偶者など家族の収入に依存して怠惰な生活を送っているような状態を指します。
そして、これは離婚の実務においても使われる法律用語でもあります。

1.無為徒食を理由に離婚は認められるのか?
民法では、裁判で離婚を認めさせるために必要な理由を4つ定めています。これを法定離婚原因と呼びます。そのうちの1つに「婚姻を継続しがたい重大な事由」(第770条1項4号)というものがあります。
もしも、配偶者が無為徒食の生活を送っている場合、無為徒食そのものが直接的な離婚原因として条文に明記されているわけではありませんが、この「婚姻を継続しがたい重大な事由」として考慮される可能性があります。
ただし、単に働かず遊び暮らしているという理由だけで、ただちに裁判で離婚が認められるわけではありません。これがために「婚姻関係が破綻して、もはや回復の見込みがない、修復不可能である」といえるかどうかという観点から検討されます。
2.働いていない=無為徒食ではない
そもそも、働いていない人がすべて無為徒食に該当するわけではありません。たとえば、次のような事情がある場合には、裁判所も慎重に判断します。
2-1.就労不可能な事情の有無
病気や怪我、精神的な疾患(うつ病など)によって働けない場合は無為徒食とはみなされません。また、リストラや倒産など会社都合により失業したばかりであるとか、積極的に就職活動を続けている場合も「働かない」のではなく、「働けない」事情が存在するため、単純に無為徒食と評価されることはありません。
2-2.家事や育児への貢献度
外で働いていなくとも、専業主婦(主夫)として家事や育児を実質的に担っているのであれば、無為徒食にはあたりません。働く能力があるにもかかわらず、意図的に働かず、家事や育児も放棄している状態が問題視されます。
3.裁判で離婚が認められるための具体的な判断基準
以上の点を踏まえると、無為徒食を原因として婚姻を継続しがたい重大な事由が認められるためには、次のような事情が必要となります。
- 働く能力があるにもかかわらず就労を拒み続けているか
- 生活費を入れないなど家計への協力を一切行っていないか
- 家事や育児に協力していないか
- 配偶者に経済的負担を集中させているか
- このような状態が長期間継続しているか
- 夫婦関係の修復が困難な状況に至っているか
このような事情が認められれば、無為徒食が離婚を認める事情の1つとして評価される可能性があります。
なお、実際の離婚裁判では、無為徒食単体というよりも、それに伴う問題行動とセットで主張されることが多いです。たとえば、次のようなものです。
- 働かないのに浪費や借金を繰り返す
- パチンコや競馬などのギャンブルに依存している
- キャバクラや風俗などに通っている
- 働かないことを注意すると暴力を振るったり、暴言を吐く(DV・モラハラ)
4.離婚手続きを進めるためのアドバイス
配偶者の無為徒食を理由に離婚の話し合い(協議離婚)や離婚調停、離婚訴訟を進めるためには、口頭で単に「夫(妻)が働かない」と主張するだけではなく、それを裏付けるための客観的な証拠を集めることが重要です。
- ・生活実態の記録
- 配偶者の1日のスケジュールや就職活動をしていないことがわかる遣り取りなど。配偶者の浪費や遊興の状況が分かる資料
- ・家計の支出入が分かる資料
- 生活費を長期間負担していないことを示す、一方の収入だけでやりくりしていることがわかる通帳や家計簿など。生活費を請求した際のLINEやメールなど。
5.一人で悩まず弁護士にご相談ください。
配偶者が働かずに遊び暮らしており、生活費を負担しない状況が続くと、精神的にも経済的にも大きな負担を抱え続けることになります。しかし、無為徒食だけを理由に必ず裁判離婚が成立するわけではなく、裁判所に対して修復不可能な状態まで夫婦関係が壊れていることを認めさせることが必要です。
まずは離婚問題に強い弁護士にご相談することをお勧めします。法的な主張のみならず、状況に応じた適切な証拠の集め方、さらには、離婚に付随する婚姻費用、財産分与、慰謝料、親権、養育費などの問題について、適切なアドバイスが受けられるはずです。
