慰謝料・離婚の法律用語集
- 婚姻による成年擬制[こんいんによるせいねんぎせい] とは?
未成年者が結婚すると、成年に達したものとみなされます(民法753条)。これを、婚姻による成年擬制と呼びます。
具体的には、父母などの親権者(法定代理人)の同意なく、新居のアパートを借りたり(賃貸借契約)、自動車のローンを組んだり(売買契約)するといったことができるようになります。この規定の趣旨は、結婚により社会的な自覚が成熟したものとして扱うことや、結婚後も親権者の同意を必要とすると、独立した家庭生活を送るのに不都合であることなどが根拠とされています。
もっとも、すべての法律関係において成年と擬制されるのではなく、選挙権や飲酒・喫煙までが許可されるわけではありませんので、注意が必要です。
それでは、未成年者が離婚する場合はどうなるのでしょうか。この点、婚姻による成年擬制により法的には成年と扱われますので、離婚しているからといって、未成年者に戻ることはありません。
離婚に父母の同意は必要ありませんし、その後も単独で契約などの法律行為をすることができます。ただし、成年擬制の効果が与えられるのは、婚姻届を正式に提出する法律上の婚姻関係に限られており、事実婚などの内縁関係に成年擬制は認められていません。
なお、2022年4月1日から施行される民法の改正により、成人年齢が18歳に引き下げられます(改正第4条)。
また、結婚できるようになる年齢(婚姻年齢)も、男女ともに18歳以上となります(改正第731条)。
これらの改正により、未成年者の婚姻というものが観念できなくなりますので、婚姻による成年擬制を定めた民法753条の規定は削除されます。