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慰謝料・離婚の法律用語集

婚姻の無効[こんいんのむこう] とは?

婚姻が成立した当初から、婚姻の効力が生じないことをいいます。婚姻の無効が認められると、一度は成立した婚姻関係がはじめから成立していなかったことになります。

1.どのような場合に婚姻の無効が生じるのか?

まず婚姻は、夫婦となる2人の間で婚姻する意思が合致したうえで、婚姻届を市区町村役場に提出することで成立します。そのため、婚姻届が提出されても、婚姻の意思がなければ婚姻は無効となります。

たとえば、婚姻する気がないのに、恋人やストーカーなどが勝手に婚姻届を提出したような場合、婚姻は無効となります。また、認知症などの病気により、十分な判断能力がない状態で婚姻届を作成して提出しても、無効となるでしょう。

ほかにも、子どもに嫡出子の地位を与えることだけを目的として婚姻届を提出したような場合も、婚姻が無効になる可能性があります。

2.婚姻を無効にするための手続き

婚姻の意思がなくても市区町村役場が婚姻届を受理した場合は、婚姻が成立して戸籍に反映されます。戸籍を訂正するためには、裁判所の手続きを通じて、婚姻の無効を確認する必要があります。

ただし、調停前置主義という原則により、最初から訴訟を起こすことはできません。まずは、家庭裁判所に婚姻無効確認調停を申し立てる必要があります。

・婚姻無効確認調停

婚姻無効確認調停は、婚姻が無効であることを確認するため、調停委員を介して婚姻の当事者同士が話し合いをする手続きです。なお、調停の申し立ては当事者だけでなく、婚姻無効に利害関係がある親族などの第三者も可能です。

話し合いで婚姻が無効であることが確認されても、すぐに婚姻が無効となるわけではありません。調停委員の意見を聞くなど、必要な調査を通じて婚姻無効の合意が適切だと家庭裁判所が判断した場合、審判が行われます(家事事件手続法第277条)。

審判が確定すると、婚姻無効を認める判決が出されたのと同じ効力が生じます。その後、審判書謄本審判確定証明書などを市区町村役場に持参して申請することで、戸籍が訂正されます。

・婚姻無効確認の訴え

婚姻無効確認調停を起こしても相手方が無効を認めない場合、調停は不成立となります。また、相手方が調停の呼び出しを無視して裁判所に来ない場合や、そもそも相手方の所在がわからない場合も同様です。

調停が成立しなかった場合、次のステップとして婚姻無効確認の訴えを提起します。相手方が無効を認めない場合や訴訟に応じない場合でも、裁判所が無効を認める判決を出せば、婚姻を無効にすることができます。

3.一方的に婚姻届を提出することは犯罪

婚姻が無効となる代表的な例は、自分が知らない間に婚姻届が勝手に出されてしまったというケースです。しかし、婚姻届を勝手に作成して提出する行為は犯罪にあたります。

たとえば、婚姻届に他人の名前を書いたり、押印したりする行為は、有印私文書偽造罪にあたります(刑法第159条1項)。偽装した婚姻届を市区町村役場に提出すると偽造有印私文書行使罪が成立します(刑法第161条1項)。

有罪となった場合の刑罰は、どちらも3か月以上5年以下の懲役刑です。

さらに、偽造した婚姻届を役場に提出する行為は、公務員に虚偽の申告をして、誤った内容を戸籍に記入させることになります。
この行為は、「電磁的公正証書原本不実記録等罪」に該当し、刑罰は5年以下の懲役または50万円以下の罰金刑です(刑法第157条1項)。

4.婚姻の無効の手続きは弁護士に相談を

婚姻無効確認調停や訴訟を提起するには煩雑な手続きが必要です。また、調停や訴訟を通じて適切に主張しなければ、無効を認めてもらうことはできないでしょう。

調停や訴訟を自分自身で進めるのが難しい場合、弁護士に相談、依頼すればスムーズに対応できるため、問題の早期解決に繋がります。

勝手に婚姻届を提出されたケースで、相手を処罰するために警察へ届け出たい場合も、弁護士への相談や依頼をおすすめします。弁護士であれば一連の手続きを円滑に進めてくれるでしょう。

弁護士法人プロテクトスタンスでは浮気不倫の慰謝料請求や離婚問題だけでなく、男女トラブルについて多くのご相談とご依頼をお受けしてきました。豊富な実績を活かした対応力には自信がありますので、ぜひ安心してご相談ください。