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慰謝料・離婚の法律用語集

退去命令[たいきょめいれい] とは?

DVの被害者が加害者と同居している場合、裁判所が加害者に対して住居から退去させ、その住居付近での徘徊を禁止する命令です。

1.DV加害者との別居に向けた準備に利用できる

退去命令は、配偶者からのDVに苦しむ被害者が、裁判所に申立てを行うことにより発令される保護命令の1種です。加害者と同居している場合に、被害者が身辺整理や引っ越しをするまでの期間中、加害者を遠ざけるために利用することができます。

退去命令が発令されると、加害者は被害者と同居している住居からの退去を命じられるとともに、住居近辺の徘徊を2か月間、禁止されます。(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(DV防止法)第10条1項2号)。

ただし、退去命令の対象となる住居について、被害者のみが所有や賃借している場合は、命令の期間が6か月間になります。

加害者が退去命令に違反した場合、2年以下の懲役または200万円以下の罰金という厳しい刑事罰が科されます(同法第29条)。

2.期限内に転居できなければ再度の申立てが可能

退去命令が発令されても、被害者が病気で入院していたなど、何らかの事情によって2か月の期限内に引っ越しができないケースもあるでしょう。

被害者がやむを得ない事情により転居できなかった場合、退去命令を再度申立てることができます。ただし、退去命令を再度発令することで、加害者の生活に著しい支障が生じると判断されると、申立てが認められない可能性があります。

また、再度申立てる場合も、初回と同様の手続きが必要となるため、発令までの期間を考慮して手続きを進めることが重要です。

3.退去命令を申立てるための要件と手続きの流れ

退去命令を申立てるには以下の要件を満たす必要があります。

  • 配偶者から身体に対する暴力、または、生命、身体に対する脅迫を受けた
  • 更なる身体に対する暴力を受けることにより、生命、身体に対する重大な危害を受けるおそれが大きいとき

そして、申立手続きの流れは、次の順番で進めることが一般的です。

  1. 配偶者暴力相談支援センター、または、警察への相談
  2. 裁判所への申立て
  3. 口頭弁論または審尋期日
  4. 退去命令の発令

まず、申立ての準備として、各都道府県にある配偶者暴力相談支援センター(DVセンター)または警察に相談しておきましょう。なぜなら、退去命令の申立書の記載事項の中に、これらの相談機関に対して相談した事実を記載するのが原則だからです。

次に、申立先は以下のいずれかを管轄する地方裁判所になります(同法第11条)。

  • 相手方(配偶者/加害者)の住所の所在地
  • 申立人(被害者)の住所または居所の所在地
  • 配偶者からの身体に対する暴力または生命等に対する脅迫が行われた地

そして、裁判所での口頭弁論または期日を経て、退去命令を発令するか、申立てを却下するかの決定が下されます。

4.DV被害を受けてお困りの方は弁護士に相談を

配偶者やパートナーからの暴力、脅迫などで苦しい思いをされている方は、早めに警察や配偶者暴力相談支援センターへ相談しましょう。

また、退去命令などの保護命令の申立てには、裁判所の手続きを経る必要があるため、法的な専門知識が必要になります。
さらに、申立人は被害者本人または代理人弁護士しかなることができず、親族や友人では、本人をこの手続きにより助けてあげることができません。

そのため、離婚問題や男女トラブルに詳しい弁護士に相談し、今後の対応を依頼することをおすすめします。

弁護士であれば代理人として手続きを進めたり、さまざまなアドバイスをしてくれるので、命令が迅速に発令されることが期待できます。
また、弁護士は、退去命令に付随して、配偶者への離婚請求や、DVを受けたことへの慰謝料請求を取り扱うことができます。

弁護士法人プロテクトスタンスでは、多くの方から離婚問題・男女トラブルのご相談・ご依頼をお受けしており、解決実績が豊富です。所員一同、万全の体制でお待ちしております。