慰謝料・離婚の法律用語集
- 仮差押え[かりさしおさえ] とは?
仮差押えとは、債務者が財産を処分しないように、判決が出る前であっても財産の処分を禁止し、あらかじめ相手方の財産を確保する保全手続きのことです。
浮気・不倫に伴う慰謝料の請求や離婚訴訟の場合、浮気・不倫相手や配偶者が、財産を処分したり、隠してしまう可能性があるときに仮差押えの申立をすることができます。
慰謝料や財産分与の確実な回収に繋げる手段として有効です。仮差押えの対象となる財産に限定はありませんが、主に以下のものが対象となります。
- 相手名義の家、自動車
- 価値ある動産
- 現金、退職金、預貯金
- 保険の解約返戻金
- 賃料債権(相手が大家の場合など)
仮差押えの手続きは、裁判所に申し立てを行う必要があります。
そして、申立書には、「被保全の権利」と「保全の必要性」を明らかにすることが必要です。被保全の権利とは、離婚に伴う財産分与や慰謝料を請求することができる権利のことです(財産分与請求権、慰謝料請求権など)。これらの権利を請求する関係にあることを記載する必要があります。
保全の必要性とは、仮差し押さえをする理由を明確に主張することです。
たとえば、配偶者や不貞相手に財産を無断で消費されたり、隠されてしまう可能性がある場合が当てはまります。
このような理由があるときには保全の必要性が認められるでしょう。これらの申立書を元に、裁判所において仮差押えの審理が行われます。
仮差押えが認められた場合には、担保金(対象となる財産のおよそ2~3割)を供託して納めすると、裁判所が仮差押え命令を発令します。なお、担保金は担保の必要性が無くなれば返金してもらえますが、裁判所に必要性の有無を判断してもらう手続きや、供託所(法務局)への所定の返還手続きを行わなければなりません。
仮差押えが求められる場合、密かにかつ迅速な手続きが必要ですし、夫婦の財産関係の実態を踏まえたオーダーメイドな対応が必要となります。
非常に専門的な手続きとなりますので、なるべく早めに弁護士にご相談されることをおすすめします。