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慰謝料・離婚の法律用語集

偽装離婚[ぎそうりこん] とは?

法律上の明確な定義はありませんが、何らかの目的のために、法律上の婚姻を解消して離婚したものの、離婚後も変わらず、事実上の夫婦関係や共同生活を続けている状態のことを指します。

偽装離婚をする目的には様々なものがありますが、次のようなケースが多く見受けられます。

(1)児童扶養手当や生活保護を受給するため

子どものいる夫婦が離婚した場合、児童扶養手当(母子手当)を受給できるため、これを受給する目的や、生活保護を受ける際の収入制限を緩和するために行われることが多いです。

(2)財産を隠すため

多額の借金により自己破産する場合や債権者からの取立を免れたい場合などに偽装離婚し、離婚時の財産分与の手続きを利用して、隠したい財産を配偶者に渡して自己破産するというケースがあります。
なお、この場合、免責不許可事由(破産法第252条各号)に該当しますので、借金が免責されない可能性がありますし、詐欺破産罪により10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金(または併科)の罪に問われる可能性もあります(同第265条1項)。

(3)子どもを保育園に入れるため

ひとり親世帯への自治体からの公的支援として、認可保育園に優先的な入所があります。そのため、待機児童に悩む共働き世帯の夫婦が、子どもを保育園に預けるために偽装離婚をするというケースがあります。
この場合、偽装離婚が発覚した場合、保育園を退所せざるを得なくなるおそれがあります。

(4)信用情報を詐称するため

結婚により姓を変更した配偶者が多重債務に陥っている場合、結婚後の姓(婚氏)で新たな借り入れができないとき、信用情報とは異なる性(旧姓)を偽装離婚により名乗ることで、借り入れを試みるケースがあります。
この場合、金融機関に対する詐欺罪に問われる可能性があります(刑法第246条1項)。

そもそも、偽装離婚は、虚偽の離婚届を使って、役所の公務員に虚偽内容の戸籍を編成させることになりますので、公正証書原本不実記載罪(同157条1項)が成立する可能性があります。

この場合、5年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。

偽装離婚をした夫婦は、目的達成後に再び結婚し、法律上の夫婦に戻るケースが大多数です。
しかし、上記のようなリスクを踏まえると、その後の生活や子育てに大きな影響を与えかねないため、偽装離婚をするべきではありません。

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