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慰謝料・離婚の法律用語集

調停前置主義[ちょうていぜんちしゅぎ] とは?

訴訟を提起する前に、調停による解決を先に試みなければならないという原則のことです。
たとえば、離婚やその他の家庭問題(認知嫡出否認の訴えなど)には調停前置主義が採用されています(家事事件手続法第257条1項)。
つまり、離婚訴訟に訴えるためには、あらかじめ離婚調停を実施する必要があるのです。

そもそも、調停と訴訟とは、どちらも紛争を解決するための制度ではありますが、その解決方法は大きく異なります。

訴訟では、双方が証拠にもとづく主張を行い、事実の認定と法律の適用により、ハッキリと白黒を付けます。
これに対して、調停は裁判所が間に入りながらあくまでも話し合いによる解決を目指します。

この点、家族関係の争いごとは必ずしも法律による解決に馴染みませんし、離婚後も養育費の支払いや面会交流権の実施など関係性が継続していくことになります。
そのため、訴訟による明確な解決よりも、話し合いによる柔軟な解決の方が望ましいことから、調停前置主義が採用されているのです。

もしも、この原則を無視して、はじめから離婚訴訟を提起した場合は、裁判所の職権により、離婚調停に変更されます(「付調停」:同条2項)。

なお、相手方が行方不明、外国に居住している、頑なに調停に応じない、長い期間をかけて調停を行っていたが解決せず調停を取り下げた、などの事情がある場合、調停前置主義の例外として、そのまま離婚訴訟を進めることができます(同条2項ただし書き)。