慰謝料・離婚の法律用語集
- 調停調書[ちょうていちょうしょ] とは?
離婚調停の場合、当事者が合意して調停が成立すると、家庭裁判所が合意内容を書面にまとめます。これが調停調書です。
具体的には、申立人・相手方・調停委員が集まり、裁判官が当事者の合意内容を読み上げながら間違いがないか確認します(DVなどのおそれがない場合)。
その後、裁判所が調停調書を作成して、当事者に郵送することになります。(1)調停調書の効力
調停調書には、確定判決と同一の効力があります。もしも、調停調書に記載されている合意内容(たとえば、慰謝料、財産分与、養育費の支払いなど)が守られなかった場合、強制執行を申し立て、相手の財産を差し押さえることができます。
原則的に、調停調書の内容を後から変更することはできません。例外的に、計算間違いや誤記、これらに類するような明白は誤りについては、裁判所の更正決定により変更できます(家事事件手続法第269条1項)。
(2)調停調書の確認ポイント
そのため、合意内容について、金額や日時に間違いがないか、記載漏れはないか、認識に齟齬はないかなど必ずチェックしましょう。
もちろん、合意内容の主体となる次のポイントは要注意です。- 離婚の形態
- 離婚届出義務者
- 財産分与
- 慰謝料
- 養育費
- 親権、面会交流
調停離婚であるのか、離婚届の提出であるのか、何をもって離婚成立となったのかを記載します。
後者の場合にすると、戸籍に「調停離婚」という記録が残りません。離婚届の提出により離婚を成立させる場合、申立人と相手方のどちらに離婚届の提出義務があるのかを記載します。
離婚届がきちんと提出されない可能性があるときは、自分が届出義務者になる方が賢明です。対象財産が預貯金や現金の場合は、その金額や支払い方法を確認します。分割払いの場合には、約束通りに支払われなかった場合の違約条項(遅延損害金など)を盛り込むことも重要です。
また、対象財産に自動車や不動産が含まれる場合は、名義変更の方法も確認します。
原則的には、財産分与を受ける側が単独申請できますが、場合によっては、夫婦で共同申請しなければならないケースもあります。金額や支払い方法、約束通りに支払われなかった場合のペナルティを、しっかり取り決めておくことが大切です。
上記と同様に金額、支払い方法、期限などをしっかり確認します。養育費は不払いや未納が多い項目です。子どもの将来のためにも特に慎重にチェックしましょう。
後から親権者を変更することは非常に難しいため、親権者に間違いはないか必ず確認しましょう。
また、面会交流権の内容に認識の齟齬がないか、頻度や日時を詳しく取り決めておく必要があります。(3)調停調書が作成された後は
離婚調停が成立しても、離婚の手続きは終わりません。調停成立後10日以内に、離婚届に調停調書の謄本を添えて、市区町村役場に提出する必要があります。
調停調書の謄本は、裁判所に申請しなければ取得できません。郵送でも申請可能ですが、調停が成立したときに裁判所で申請を済ませてから帰る方が簡単です。
(4)離婚調停が成立しない場合
夫婦が離婚の合意に至らず調停が終了する場合でも、調停調書(離婚調停不成立調書)が作成されます。
これは、離婚訴訟に訴えるためには、離婚調停を経る必要があるため(調停前置主義)、訴状に離婚調停が不成立に終わったことを記載した調停調書の謄本を添付しなければならないからです。(5)調停調書と混同されやすい文書
調停調書とよく似た文書に「和解調書」と「公正証書」とがあります。詳しくはそれぞれの解説ページをご覧ください。
調停調書 和解調書 公正証書 作成場所 裁判所 公証役場 作成者 裁判所書記官 公証人 使用場面 調停離婚 審判離婚/裁判離婚 協議離婚 強制執行 可 条件付き可 強制執行の範囲 金銭の支払い以外の内容も可能(面会交流など) 金銭の支払い内容のみ可能(慰謝料、財産分与、養育費など)