慰謝料・離婚の法律用語集
- 嫡出否認の訴え[ちゃくしゅつひにんのうったえ] とは?
父親との親子関係が推定される子ども(推定される嫡出子)について、父親と子どもの親子関係を争うための裁判上の手続きのことです。
嫡出推定規定によって、実際は血縁関係がなくても父親と子どもの親子関係が推定されるケースがあります。この親子関係を否定するために、嫡出否認の訴えを家庭裁判所に起こすことができます。
1.誰が訴えを起こせるのか
嫡出否認の訴えを申し立てることができる提訴権者は、次の通りです。
- 父親と推定される(元)夫
- 子(母親や養親、未成年後見人による代理の申し立てが可能)
- 母親
- 母親の前夫(再婚後の夫の子と推定される子に対して)
従来は父親と推定される(元)夫だけが提訴権者でしたが、民法の改正により、2024年4月から母親や子どもなども提訴できるようになりました。
2.訴えの相手方は誰か
訴えの相手方は、申し立てをした人によって異なります。
申立人 相手方 父親と推定される(元)夫 子どもまたは親権を持つ母親 子ども (元)夫 母親 (元)夫 母親の前夫 再婚後の夫および子または親権を持つ母親 3.訴えの期限はいつまでか
子どもや母親が申し立てる場合は、子どもが出生した時から3年以内です。
父親と推定される(元)夫や母親の前夫が申し立てる場合は、子どもの出生を知ったときから3年以内です。なお、父親と推定される(元)夫や母親は、子どもが嫡出子であることを承認すると、否認権を失い、嫡出否認の訴えを起こせなくなります(同776条)。
4.訴えの手続きの流れ
嫡出否認の訴えには、調停前置主義が適用されますので、まずは嫡出否認の調停を申し立てる必要があります。
調停の手続きでは、家庭裁判所による調査主導のもと、推定されている親子関係を否定することが当事者間で合意できた場合、合意に従った審判が下されます。
合意に至らなかった場合は、嫡出否認の訴えを提起し、親子関係を争うことになります。なお、推定されない嫡出子や推定の及ばない嫡出子、非嫡出子(婚外子)との親子関係を争う場合には、「親子関係不存在確認の訴え」という手続きを利用します。
弁護士法人プロテクトスタンスには、浮気・不倫の慰謝料や離婚手続きだけでなく、子どもの認知など親子関係の問題に詳しい弁護士も在籍しています。
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