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慰謝料・離婚の法律用語集

管轄[かんかつ] とは?

簡単に言うと、どこの裁判所が事件を担当するのかという分担に関する取り決めのことです。

日本各地に様々な種類の裁判所がたくさんありますが、裁判所であればどこの裁判所に対しても訴えることはできるというのものではありません。

(1)管轄に関する基本的な考え方

管轄に関する考え方には幾つかありますが、その中でも、次の2つが重要です。

  • 普通裁判籍
    当事者の住所地によって裁判所の管轄が決まること
  • 合意管轄
    当事者間の事件を申し立てる裁判所を合意して選ぶこと

(2)離婚調停の場合

原則として、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てをしなければなりません(家事事件手続法第254条)。

そもそも、離婚調停は、離婚訴訟と異なり、裁判所に話し合いの場を設けることに意味があります。そのため、相手方が出頭しやすいようにするため、このような原則が定められています。
ですので、離婚調停を申し立てるには、相手方の現住所を把握しておく必要があります。

なお、住民票上の住所と現住所が異なっている場合は、住所地の判断は現住所が基準になることに注意が必要です。

ただし、あらかじめ夫婦の合意があれば、指定の家庭裁判所に申し立てることも可能です(合意管轄)。

(3)離婚訴訟の場合

離婚訴訟の場合、合意管轄が認められていませんので、夫と妻のどちらかの普通裁判籍を管轄する家庭裁判所に、訴訟を提起することになります。

(4)慰謝料請求訴訟の場合

浮気不倫不貞行為による慰謝料を訴訟により請求する場合、損害賠償請求となりますので、その取扱いは通常の民事訴訟になります。
そのため、請求する不貞相手の普通裁判籍を管轄する地方裁判所(または簡易裁判所)に訴えることになります。

この点、離婚の慰謝料を訴訟により配偶者に請求する場合、こちらも損害賠償の請求となりますので、同じ取扱いになります。これは離婚後であっても同様です。

しかし、離婚訴訟と慰謝料の請求訴訟を同時に行うことは、費用面や精神面で大きな負担となります。

そのため、実務上は、離婚とともに離婚の慰謝料を請求する場合は、(1)の離婚調停を扱う家庭裁判所に一緒に申し立てを行います。
また、離婚調停が成立しない場合は、(3)の離婚訴訟を扱う家庭裁判所に一緒に申し立てを行います。

(5)例外的な対応

相手方の管轄地の家庭裁判所で離婚調停や離婚訴訟を行う場合、遠方であるために毎回の出頭が困難であるという事情が発生するおそれがあります。

このような場合は、「自庁処理」または「移送」という手続きを行うことにより、申立てまたは職権により、裁判所に管轄裁判所を指定させることができます。

なお、未成年の子がいる場合には、その子の住所地が考慮されます(人事訴訟法第31条)が、あくまで個別具体的な判断が必要なところに注意が必要です。

普通裁判籍は、お住いの住所地によって異なります。裁判所のホームページで確認することができますので、そちらもご参照ください。

裁判所の管轄区域(裁判所ホームページ)