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慰謝料・離婚の法律用語集

嫡出子[ちゃくしゅつし] とは?

法律上の婚姻関係にある男女間に生まれた子どものことを嫡出子と呼びます。 これに対して、内縁事実婚)や不倫関係など、未婚の男女間に生まれた子どもを「非嫡出子」(婚外子)と呼びます。

たとえば、親が死亡した場合、嫡出子は親の財産を相続することができますが、非嫡出子は認知を受けていない限り、親の財産を相続できません。

そして、嫡出子は次の3種類に分けられます。

(1)推定される嫡出子

生まれた子どもの母親は分娩により明らかですが、子どもの父親が誰かという問題は明らかではありません。今でこそ、DNA鑑定により生物学的な父親を特定することができますが、それでも、父子関係が科学的にしか特定されないのであれば、子どもの身分や地位が安定しません。

そのため、民法では、婚姻関係にある男女の間に生まれた子どもは、夫の子どもと推定するという嫡出推定規定を設けています(第772条1項、2項、3項)。
これによって、法律上の父子関係の存在が推定され、生まれた子どもは嫡出子の身分を得ることができるのです。

そして、この嫡出推定規定は、次の3つのケースのいずれかに当てはまる場合に適用されます。これらのケースに当てはまる子どもを「推定される嫡出子」と呼びます。

  • 妻が婚姻中に妊娠した子ども
  • 婚姻が成立した日から200日を経過した後に生まれた子ども
  • 婚姻の成立日から200日後または婚姻の解消もしくは取り消しから300日以内に生まれた子ども

①妻が婚姻中に妊娠した
妻が婚姻中に妊娠した場合、生まれた子どもは夫の子どもと推定され、夫婦の間に生まれた嫡出子となります。

②婚姻が成立した日から200日以内に生まれた
たとえば、「授かり婚(できちゃった結婚)」などにより、婚姻が成立した日から200日経過していない時期に生まれた子どもなどのことです。
これまでは、次に説明する推定されない嫡出子に該当していましたが、2024年4月に改正民法が施行され、推定される嫡出子として扱われるようになりました。

③婚姻の解消または取り消しから300日以内に生まれた
離婚などによる婚姻の解消や取り消しから300日以内に生まれた子どもは、元夫との子どもと推定されます。
しかし、今回の民法改正により、離婚後300日以内に再婚した場合は、再婚後の夫の子どもと推定されます。

(2)推定されない嫡出子

法律上の婚姻関係にある男女間で生まれた子どものうち、嫡出推定規定により、夫の子どもとして推定されない子どものことです。
上述した通り、改正民法の施行前は、授かり婚(できちゃった結婚)などにより、婚姻の成立から200日以内に生まれた子どもは推定されない嫡出子とされていました。

(3)推定の及ばない嫡出子

嫡出推定規定の3つのケースのいずれかに該当するものの、夫が刑務所に入っていた、夫が生死不明で失踪していた、夫婦間で性的関係がまったく無かった、病気で生殖不能だったといったような状況で子どもが生まれた場合、推定の及ばない嫡出子となります。

ただし、上記のような嫡出が及ばない、夫と子どもに血縁関係がないことが明らかな事情があったとしても、出生届が受理されると、夫婦の間に生まれた嫡出子となります。

それでは、夫と子どもとの父子関係を否定するにはどうしたらよいのでしょうか。

この点、夫が推定される嫡出子との親子関係を否定したい場合は、家庭裁判所に「嫡出否認の訴え」という手続きを起こさなければなりません。
また、推定されない嫡出子や推定の及ばない嫡出子との父子関係を否定するためには、家庭裁判所に「親子関係不存在確認の訴え」を提起しなければなりません。

両制度の詳細や違いについては、それぞれの法律用語集のページでご確認ください。

弁護士法人プロテクトスタンスには、浮気不倫慰謝料や離婚の手続きだけでなく、認知など親子関係の問題に詳しい弁護士も在籍しています。
ぜひ、遠慮なくご相談ください。