慰謝料・離婚の法律用語集
- 認知請求権[にんちせいきゅうけん] とは?
父親が認知しない場合、家庭裁判所に調停を申し立て、訴訟を提起したりして、認知を求める請求をすることができます(民法第787条)。いわゆる、強制認知の手続きです。
このような請求ができるのは、認知請求権という権利を基礎としているからです。そして、この認知請求権は、人の身分に関する大切な権利であるため、個人が自由に放棄・処分したりすることはできません。
たとえば、不倫相手の子どもを妊娠してしまい、出産することを選んだとします。ところが、不倫相手から、解決金と引き換えに「認知を請求しない」とか「認知請求権を放棄する」などといった内容を含む合意書へのサインを求められ、経済的な必要性から、合意書にサインをしてしまい、お金を受け取ってしまうケースがあります。
このような場合であっても、認知請求権の放棄は法律上無効であり、後から認知請求を求めることは可能ですし、認知請求訴訟を提起することが認められています。
過去の裁判例では、認知請求権の放棄の対価として母親が1,500万円の解決金を受領し、受領3年後に認知請求訴訟を起こした事例において、認知請求は権利濫用には当たらず、認知請求を認めたものがあります(名古屋高裁判決 昭和52.10.31)。
認知は、生まれてくる子どもの養育費の請求や相続権などに影響する大きな法的手続です。同棲や内縁関係(事実婚)中での妊娠や、浮気・不倫による妊娠など、認知に関するトラブルは、弁護士までご相談ください。