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慰謝料・離婚の法律用語集

氏の変更許可[うじのへんこうきょか] とは?

(姓や名字)を変更するために、家庭裁判所の許可を得るための手続です。

離婚が確定すると、婚姻によって氏を変更した人は、婚姻前の氏(旧姓)に戻ります。これを復氏と呼びます。
また、仕事上の事情などで婚姻中の姓(婚氏)を離婚後も使いたい場合は、離婚日の翌日から3か月以内に婚氏続称の手続きをすることで、婚氏を使い続けられます。

しかし、婚氏続称をせずに3か月の期限が過ぎたものの、やはり婚氏を名乗りたい方や、婚氏続称をしたものの旧姓に戻したい方もいるでしょう。
氏の変更許可は、このようなケースで氏を変更するために利用する手続きです。

1.氏の変更許可にはやむを得ない事由が必要

氏の変更許可は、家庭裁判所に申立てをすれば必ず認められるわけではく、「やむを得ない事由」が求められます(戸籍法第107条1項)。

たとえば、単に今の氏が気に入らないという理由で変更を求めても、やむを得ない事由があると認められず、氏の変更が許可されない可能性が高いです。
一方、氏を変更しなければ仕事など社会的に不利益や不都合が生じるような場合は、やむを得ない事由があると認められやすいでしょう。

2.家庭裁判所での手続き

氏の変更許可は、住所地を管轄する家庭裁判所に申立書を提出することで、手続きを行います。
手続きには申立書のほか、戸籍謄本(全部事項証明書)や、800円分の収入印紙、連絡用の郵便切手などが必要です。

申立書の書式や記入例は、裁判所のホームページからダウンロードすることができます。

申し立てを受けた家庭裁判所は申立書の内容をチェックし、氏の変更を許可するか検討するうえで確認したい点がある場合、質問事項などを記載した照会書を申立人に送ります。
また、電話や裁判所への呼び出しなどにより、確認を行うケースもあります。

氏の変更が認められると、審判書の謄本や確定証明書という書類が裁判所から送られてきます。
これらの書類は次の手続きで必要になるので、必ず保管しておきましょう。

3.各市区町村役場での手続き

家庭裁判所で氏の変更が許可されても、自動的に氏が変更されるわけではありません。
市役所や区役所といった市区町村役場の担当部署に届出る必要があります。

手続きの方法としては、市区町村役場で氏の変更届の用紙を受け取り、必要事項を記入のうえ、家庭裁判所から送られてきた審判書の謄本や確定証明書とともに提出します。
戸籍謄本や印鑑などが必要となる場合もあるので、担当部署に連絡するなどして事前に確認しておきましょう。

4.子どもの氏を変更するには別の手続きが必要

夫婦の離婚などにより、子どもの姓が父または母と異なる場合、「子の氏の変更許可」という別の手続きを、家庭裁判所で行う必要があります。
たとえば、離婚によって母が旧姓に戻り、子どもの氏も母の旧姓に変更するようなケースです。

また、婚氏続称により離婚後も母が婚氏を使い続け、子どもの氏が変わらない場合も、母が親権者となり、子どもを母の戸籍に入れるのであれば「子の氏の変更許可」が必要です。

5.氏の変更や離婚は弁護士にご相談を

家庭裁判所や市区町村役場で手続きをする手間を考えると、離婚後に婚氏と旧姓のどちらを使うか慎重に判断し、婚氏を使うのであれば期限内に婚氏続称の手続きをすることが重要です。

もし、氏の変更許可を得る必要があるものの、自分で手続きを進められる自信がない場合や、やむを得ない事由があると認められるか不安な場合は、弁護士に相談しましょう。
弁護士であれば、過去の事例などからやむを得ない事由に該当するかを判断したうえで、手続きを正確に進めてくれます。

また、配偶者が離婚に同意してくれない、財産分与婚姻費用親権などで揉めているといった離婚に関する問題も、ぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士法人プロテクトスタンスでは、浮気不倫の慰謝料請求はもちろん、離婚問題についても多くの解決実績があるので、安心してご相談いただけます。