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慰謝料・離婚の法律用語集

養育費算定表[よういくひさんていひょう] とは?

離婚する夫婦などが養育費の金額を決める際に目安となる金額が記載された表のことで、裁判所のホームページで公開されています。

(1)算定表とは異なる金額にしてもよい

養育費算定表に記載された金額はあくまでも目安なので、夫婦双方が合意している場合、算定表の金額に従う必要はありません。
特別な教育費や医療費がかかるなど、個別具体的な状況に応じて、算定表の金額よりも高額または低額な養育費を設定することができます。

たとえば、算定表の金額は子どもが公立学校に通うことを想定して算出されています。
そのため、私立学校に通わせる場合や海外留学するような場合、算定表の金額よりも高額な養育費が必要になるでしょう。

(2)裁判所は算定表による養育費を提示する

離婚の条件などを巡って夫婦間で意見が食い違うと、家庭裁判所離婚調停を通じて話し合ったり、離婚訴訟で争ったりする場合があります。
その際、裁判所から提示される養育費の金額は、養育費算定表にもとづいて決められていることが一般的です。

(3)養育費算定表は改定されることがある

養育費算定表は、物価の変動、社会保険制度や税制の見直しなど、さまざまな社会状況の変化を踏まえて見直されることがあります。

現在、裁判所のホームページに公開されている養育費算定表は2019年に発表されたもので、「令和元年版」と呼ばれています。
2019年より前は、2003年に発表された算定表が使われていました。

なお、養育費の金額を決めずに2019年より前に離婚した人が養育費を請求する場合や、金額の見直しを求める場合、古い算定表を使う必要はありません。

(4)養育費算定表は現在9種類ある

裁判所のホームページには、子どもの人数(1人~3人)と年齢(0歳~14歳、または15歳以上)に応じた養育費算定表が掲載されています。
具体的には次の9種類から、自分の子どもの人数とそれぞれの年齢に合致する算定表を選びます。

  • 子ども1人:0歳から14歳
  • 子ども1人:15歳以上
  • 子ども2人:2人とも0歳から14歳
  • 子ども2人:1人目が15歳以上、2人目が0歳から14歳
  • 子ども2人:2人とも15歳以上
  • 子ども3人:3人とも0~14歳
  • 子ども3人:1人目が15歳以上、2人目と3人目が0歳から14歳
  • 子ども3人:1人目と2人目が15歳以上、3人目が0歳から14歳
  • 子ども3人:3人とも15歳以上

なお、子どもが4人以上の場合、算定表から養育費を確認することができません。
収入や生活費などをもとに養育費を算出することになりますが、複雑な計算が必要になるため、弁護士に相談することをおすすめします。

(5)算定表から養育費を確認する方法

算定表に記載された養育費の金額は、支払う人(義務者)と受け取る人(権利者)の年収から確認します。

次の表は、子どもが2人いて、年齢がいずれも0歳から14歳の場合の算定表です。

(表3)養育費・子2人表(第1子及び第2子0〜14歳)

出典:養育費算定表(裁判所のホームページ)

縦軸に義務者の年収、横軸に権利者の年収があり、交差する部分に記載された金額が養育費です。
なお、年収の縦軸と横軸は職業によって2列に分かれており、外側が会社員やパートなど給与所得者(給与)、内側が自営業者(自営)となっています。

この表を用いて、算定表に記載された養育費の金額を確認してみましょう。
義務者と権利者がどちらも給与所得者で、義務者の年収が500万円、権利者の年収が250万円の場合、交差する部分には「6~8万円」と記載されています。

出典:養育費算定表(裁判所のホームページ)

そのため、このケースでは6~8万円を基準に養育費を決めることになります。

・給与所得者の年収の確認方法

給与所得者の年収は、源泉徴収票に記載された「支払金額」を基準とします。
源泉徴収票から確認できない場合、給与明細や賞与明細から年収を算出してもよいでしょう。

なお、副業などで会社からの給与以外にも収入がある場合、その収入は源泉徴収票や給与明細に反映されません。
副業なども含めた正確な収入を確認するためには、市区町村が発行する「課税証明書(所得証明書)」を取得しましょう。

・自営業者の年収の確認方法

自営業者の年収は、確定申告書の「課税される所得金額」を基準とします。

「課税される所得金額」は、基礎控除や医療費控除など各種控除を受けた金額です。
控除の種類によっては、控除された金額を「課税される所得金額」に加算して計算することになります。

ただし、確定申告書から養育費の算出に用いる年収を正確に判断するには、法的な専門知識が求められるため、弁護士に相談してもよいでしょう。

(6)相手方の正確な年収がわからない場合

養育費を適切な金額にするためには、相手方の年収を正確に把握する必要があります。
しかし、権利者が義務者に対して年収を提示するよう求めても、資料の提出を拒み、実際より低い金額を伝えてくる可能性があります。

このようなケースでは、調停を起こし、相手方に年収に関する資料を提出するよう調停委員から説得してもらうことができます。
また、裁判所に「文書送付嘱託」の手続きを申立てることで、相手方の勤務先に資料の提出を請求できる場合があります。

このほか、弁護士に依頼し、「弁護士会照会」という制度を利用することで、弁護士が資料を収集できる場合もあります。

(7)養育費に関する悩みは弁護士に相談を

離婚する夫婦などが養育費の金額を決める際、まずは話し合いを通じて決めることになります。
養育費算定表の金額をそのまま使ってもよいですが、もっと高い金額を支払ってほしい、もっと低い金額しか支払いたくないなど、意見が対立する可能性があります。

このような場合、弁護士に相談すれば、個別具体的な状況に応じた適切な養育費の金額を算出してもらうことができます。

また、当事者同士だと感情的になってしまう可能性があるため、交渉を依頼することで、冷静に話し合いを進めることもできます。
弁護士が話し合いの窓口となるため、相手方と直接やり取りをするストレスがなくなる点も、弁護士に依頼する大きなメリットと言えるでしょう。

弁護士法人プロテクトスタンスでは、浮気不倫に関する慰謝料の請求はもちろん、養育費や財産分与婚姻費用など、離婚に伴うお金の問題に関する解決実績も豊富です。
土日祝日もご相談を受け付けておりますので、ぜひお気軽にご連絡ください。